tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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朝岩澤理論1:岩澤理論とその展望(上)

岩澤理論とその展望(上) (岩波数学叢書)

岩澤理論とその展望(上) (岩波数学叢書)

を読み始めた(2017/1/20スタート)。

朝8時から9時の一時間限定で毎日勉強をする。目標は3月までの100時間で読み終えること(全162ページ)。

この記事では、感動ポイントをまとめていく。あくまで自分のメモ用なので、分かりにくくても勘弁。

第1週目(2017/1/20 〜 1/26)

1/20:岩澤理論序章(1.1, 1.2)

  • ディリクレの類数公式を使ってクンマーの判定法がわかるのか!まじで!?

1/21:函数体と代数体のアナロジー(1.3)

  • 1変数代数函数体  k[T] と代数体  K の類似性についてよくわかった
  • フロベニウスと位相的生成元が対応する

1/22:Fermatの最終定理の完全解決(1.4),円分 \mathbb{Z}_p拡大(2.1)

  • オイラーシステム: p 以外の  l_1, l_2, \cdots, l_g をいっぱいくっつけて考える
    • イデアル類群  \longleftrightarrowゼータの特殊値
    • セルマー群  \longleftrightarrow L函数の特殊値
  • 円分拡大のガロア群が  (\mathbb{Z}/p^n\mathbb{Z})^\times に同型
    • 単射準同型   K(\mu_{p^n})/K で一般的に証明できる
    • 全射      \mathbb{Q}(\mu_{p^n})/\mathbb{Q} でしか成り立たない(数論特有の性質を使う:円分多項式の既約性、アイゼンシュタイン既約判定法)

1/23:\mathbb{Z}_p拡大の存在(2.1)

  •  \mathbb{Q}上の \mathbb{Z}_p拡大は円分\mathbb{Z}_p拡大ただ1つ  
  •  K上の \mathbb{Z}_p拡大は、 K 上の円分 \mathbb{Z}_p拡大  K_\infty = K\mathbb{Q}_\infty を少なくとも1つもつ(一般にはほかにいくつあるかわからない)
    • どれぐらい大きいかに興味がある

1/24: K\mathbb{Z}_p拡大の大きさ(2.1)

  • K の素点の少なくとも1つは  K_\infty で分岐する
    • どうやって証明するの?

不分岐拡大を仮定する
->すべての素点で不分岐だと仮定すると、最大不分岐拡大に含まれる。
->最大不分岐拡大のガロア群がイデアル類群と同型
->イデアル類群の有限性より、最大不分岐拡大のガロア群も有限
->最初の不分岐拡大のガロア群も有限となるが、これはZp拡大の無限性に矛盾。
->だから少なくとも1つの素点で分岐する

この流れかっこいい。なるほど不分岐類体論ってこうやって使うのか、ってなった。

  • 最大アーベル拡大:めっちゃでかい(無限個の円分体の合成体)
  • 最大不分岐拡大:小さい(イデアル類群程度の有限次拡大)

1/25: K\mathbb{Z}_p拡大の大きさ②と Leopoldt予想(2.1)

  •  K_\infty はどれぐらい存在するか、その「大きさ」を具体的に決定したい。
    • すべての K_\infty の合成体を \tilde{K}_\infty として  {\rm Gal}(\tilde{K}_\infty/K) \mathbb{Z}_p 上のランクを決定する。
    • これが不等式で抑えられる。
      • 最大アーベル拡大をとって上から抑える
      • 大域類体論の完全系列をつくって、埋め込み同士の関係を考える
      • 有限素点(l進的な埋め込み)、無限素点(実埋め込み)、総正、総負の埋め込みの直和を考える
      • 埋め込みっていうのは、同じものだとみなしているんだな

 (埋め込んだ先の全体を埋め込みを部分群とみなして、それで割ったりする。 A\hookrightarrow B だったら  B/A みたいなことをする)

  • Leopoldt 予想:上記の不等式が、具体的に等式になる同値な条件
    • これによって具体的にすべての \tilde{K}_\infty の「大きさ」がわかる
    • Kが有理数体、虚二次体のときは解決
      • Baker の代数的独立性定理の p進類似を使うらしい!
    • Kが総実代数体のときは、同値な条件が示されている

1/26:岩澤代数の定義と性質(2.2)

  • 前提:逆極限、イデアルによる完備化、正則局所環、Krull次元(Atiya, Macdonald を読んでください)、あと測度論
  • 加法群  \mathbb{Z}_p に同型な位相群を  \Gamma とする
    •  \Gamma は位相的巡回群、位相的生成元  \gamma がとれる
    • 部分群  \Gamma^{p^n} を考えて、商をとると  \Gamma/\Gamma^{p^n} となる.これを  \Gamma_n とおく.位数  p^n の巡回群となる.
  • 完備群環  \displaystyle \mathcal{O}[[\Gamma]] =  \varprojlim_n \mathcal{O}[[\Gamma_n]] を岩澤代数とよび  \Lambda_{\mathcal{O}} と表す
    •  \tilde{K}_\infty/K のガロワ群を考えると、多変数の岩澤代数も定義できる
    • 多変数の岩澤代数は肥田理論ともつながるらしい!
  • 岩澤代数はべき級数環である [J-P. Serre, 103]
    •  \gamma 1+T に移すような(非標準的な)同型  \Lambda_{\mathcal{O}} \simeq \mathcal{O}[[T]] がある

やっと一週間が終わった。

リーマンの素数公式についての質問への回答

本記事は,こちらの記事のコメント欄における質問に対する回答です。


id:kimko379 さま

お返事遅くなりすみません。
ご質問の件について,少々長くなりましたがこちらで解説いたします。


まず,ご質問の内容は以下のものでした。

1.先生の、パワー・アップ後のグラフの、オレンジ色の線の関数に於ける k と、下記のURLの、R_n(x) に於ける n とは、本質的に同じ物でしょうか。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12168471212
2.パワー・アップ前のページの、I(x) (アイ・エックス)の公式をお教え頂けますでしょうか。


確認事項ですが,質問の  R_n(x) の式とは,上記の Yahoo! 知恵袋の質問の中にある以下のリンク

http://empslocal.ex.ac.uk/people/staff/mrwatkin/zeta/encoding1.htm

という英文記事における  R_n(x) のことですね。


また,「パワー・アップ後のグラフ」いうのは私のブログ記事

リーマンの素数公式の可視化アプリがパワーアップしました - tsujimotterのノートブック

で紹介した以下のリンク先のアプリケーション

Visualization of Riemann's Prime Number Formula.

におけるオレンジ色の線(あるいは赤線)のグラフのことですね。


なお,「パワー・アップ前」とは,「パワー・アップ後」の記事以前に書いた

リーマンの素数公式を可視化する - tsujimotterのノートブック

の記事のことですね。


以上の確認を踏まえた上で,回答させていただきます。

質問2の回答

まず,わかりやすいので質問2の方から先にお答えします。

 I(x) は以下の形で定義される関数です。

 \displaystyle I(x) = \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)}\frac{\mu(m)}{m} \left\{ \int_{x^{\frac{1}{m}}}^{\infty}\frac{dt}{t(t^2-1) \log(t)} - \log 2 \right\} \tag{1}

 \mu(m) はメビウス関数と呼ばれるもので, m が平方数を因子に含むとき  0,それ以外のときに

  •  m の素因子の個数が偶数であれば  1
  •  m の素因子の個数が奇数であれば  -1

を返す関数です。



したがって,「パワーアップ前の記事」のリーマンの素数公式は

 \displaystyle \pi(x) = R(x) + \sum_{k=1}^{\infty}T_k(x) + I(x)

と記述していましたが,上の式に  R(x), T_k(x), I(x) の定義をそれぞれ代入すると,

 \displaystyle \pi(x)=  \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)}\frac{\mu(m)}{m}li(x^{\frac{1}{m}})  - \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)} \frac{\mu(m)}{m} \sum_{k=1}^{\infty} \left\{ li\left(x^{\frac{\rho_k}{m}}\right) + li\left(x^{\frac{\overline{\rho}_k}{m}}\right)\right\} + \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)}\frac{\mu(m)}{m} \left\{ \int_{x^{\frac{1}{m}}}^{\infty}\frac{dt}{t(t^2-1) \log(t)} - \log 2 \right\} \tag{2}

となります。これが一般的に用いられる「リーマンの素数公式」と呼ばれる式です。


すなわち,リーマンの素数公式は

 \displaystyle \begin{align} R(x)&=  \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)}\frac{\mu(m)}{m}li(x^{\frac{1}{m}}) \\
\sum_{k=1}^{\infty}T(x) &=  - \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)} \frac{\mu(m)}{m} \sum_{k=1}^{\infty} \left\{ li\left(x^{\frac{\rho_k}{m}}\right) + li\left(x^{\frac{\overline{\rho}_k}{m}}\right)\right\} \\
I(x) &=  \sum_{1\leq m \leq \log_2(x)}\frac{\mu(m)}{m} \left\{ \int_{x^{\frac{1}{m}}}^{\infty}\frac{dt}{t(t^2-1) \log(t)} - \log 2 \right\} \end{align}

という本質的に3つの項によって成り立っています。

1項目は「主要部」と呼ばれ,素数階段の近似の主要部分を担っています。

2項目は「振動部」と呼ばれ,これが「ゼータ関数の非自明な零点」に関係する項です。 T_k(x) ひとつ分が「 k 番目の非自明な零点による寄与」を表した項です。主要部  R(x) に対して, T_k(x) k=1 から順番に足しあわせていくと,だんだんと素数階段  \pi(x) に近づいていくのです。

3項目はおまけみたいなもので,第1項と第2項と比べると十分小さく,どの  x をとってもほとんど  0 に近いので無視してもさほど目立たない項です。とはいえ,厳密に言えばこの項も含めないと  \pi(x) には一致はしません。理論的には,この項は「自明な零点」の寄与と考えることができます。



質問1の回答

さて質問1の方ですが,これについては「ややこしい事情」がありますので,前提となる説明をしてから回答に移ります。

まず,「パワーアップ後の記事」で用いている公式は,実は式  (2) ではないのです。 (2) よりも簡略化した以下のものを用いています。

 \displaystyle J(x)=  li(x) - \sum_{k=1}^{\infty}\left\{ li\left(x^{\rho_k}\right) + li\left(x^{\overline{\rho}_k}\right)\right\} + \int_{x}^{\infty}\frac{dt}{t(t^2-1) \log(t)} - \log 2  \tag{3}


 (3) の右辺全体に  \sum_{1\leq m \leq \log(x)}\frac{\mu(m)}{m} をかけて, x x^{\frac{1}{m}} に置き換えると,式  (2) の右辺に一致します。また,左辺は式  (3) J(x) \pi(x) に置き換えると一致します。

「パワーアップ後の記事」で用いる数式を変更したのは,式の構造を簡単化するためです。そのためパワーアップの前後で,左辺が素数の個数関数  \pi(x) から  J(x) に変わってしまっています。 J(x) も素数階段のような関数ですが,特に名前はついていません。「離散関数」と呼んでいる文献を見たことがあります。

リーマンの原論文に登場している関数なので,私は便宜上「リーマンの階段関数」と読んでいます。ただし,リーマン自身は  f(x) と記述していました。


以上のように,リーマンの素数公式といっても,その書き方は文献によってまちまちで,なおかつ私のブログでも2つの記事で異なった書き方をしているために混乱を招いています。


ただ,構造としては,(メビウス関数がついている・ついていないの違いはあるにせよ)大きく3つの項により成り立っていることは変わりません。



すなわち,「パワーアップ後の記事」で用いている簡略化された素数公式は,以下の3つによって成り立っています。

 \displaystyle \begin{align} r(x)&= li(x) \\
\sum_{k=1}^{\infty}t_k(x) &=  -\sum_{k=1}^{\infty}\left\{ li\left(x^{\rho_k}\right) + li\left(x^{\overline{\rho}_k}\right)\right\} \\
i(x) &=   \int_{x}^{\infty}\frac{dt}{t(t^2-1) \log(t)} - \log 2  \end{align}


「パワーアップ前の記事」で用いている式と「パワーアップ後の記事」で用いている式は,以下のように対応しています。

 \displaystyle \begin{align} R(x) &\longrightarrow r(x) \\
\sum_{k=1}^{\infty}T_k(x) &\longrightarrow \sum_{k=1}^{\infty}t_k(x) \\
I(x) &\longrightarrow   i(x) \end{align}

左側が「パワーアップ前の記事」で,右側は「パワーアップ後の記事」で用いている式です。パワーアップ前・後と言っているとややこしいので,以下この記号を用います。



さて,その上で質問1に回答しましょう。


「パワーアップ後の記事」のオレンジ色のグラフは,

 \displaystyle \cancel{r(x) + \sum_{k=1}^{n}t_k(x)} \tag{4}
 \displaystyle r(x) + \sum_{k=1}^{n}t_k(x) - \log 2 \tag{4}
2017/01/18: 訂正しました。

を用いています。つまり,式  (3) の「主要部」に対して,「振動項」の最初の  n 個だけを足しあわせた式です。すなわち,「ゼータ関数の非自明な零点」を最初の  n 個だけ使って作った式です。リーマンの素数公式は,本来は無限に多くの零点の寄与を足していくものですが,最初の  n 個だけを用いているのです。 n を十分大きくとれば,リーマンの素数階段  J(x) に近づいていきます。


では,ご質問のあった先の URL

http://empslocal.ex.ac.uk/people/staff/mrwatkin/zeta/encoding1.htm

における  R_n(x) とは何かというと,以下の式で表せる関数と考えられます。

 \displaystyle R_n(x) = R(x) + \sum_{k=1}^{n}T_k(x) + I(x) \tag{5}

つまり,式  (2) の「振動項」において最初の  n 個だけを足しあわせた式です。すなわち,「ゼータ関数の非自明な零点」を最初の  n 個だけ使って作った式です。これも同様に, n を十分大きくとれば,素数階段  \pi(x) に近づいていきます。


したがって,両者ではそもそも用いているリーマンの素数公式が異なるわけです。

  • 私が作ったパワーアップ後のアプリケーションは,式  (4)
  • ご質問のURLの先の動いているグラフ(と私のパワーアップ前の式)は式  (5)

用いています。

ただし,どちらも「ゼータ関数の非自明な零点」に関する項の「用いる零点の個数  n」を増やして,近似を近づけている点は変わりません。また,どちらの式においても  n の意味するものは同じです。その意味で,(メビウス関数等の細かい違いを除けば)本質的に同じものを扱っていると考えてよいでしょう。

書きたい記事がたまっている

ので,とりあえずリストアップしておく

  • ガウスの種の理論(一週間以内に書く→書いた!)
  • レムニスケートと虚数乗法(ずっと書きたい書きたい言っていて書いていない)
  • ディリクレの類数公式(今熱い)(→書いた!)
  • ベイカーの定理と類数1の虚二次体(もう少し勉強が必要)(→書いた!)
  •  \mathbb{Q}(\sqrt{-19}) の整数環はユークリッドではない PID の例である
  • 無理性の判定と数列の収束スピード(心の旬を過ぎてしまった感がある)
  • ヒルベルト類体(NEW!!)(→書いた!)
  • ペル方程式(NEW!!)
  • ディリクレの単数定理(NEW!!)
  • スキームの合同ゼータ函数(NEW!!)
  • 有限体とフロベニウス(NEW!!)

類数公式 - Wikipedia

ベイカーの定理 - Wikipedia

http://plouffe.fr/simon/math/Transcendental%20number%20theory%20-%20Baker%20A..pdf

スライドデザインの重要性について

スライドデザインの重要性について、客観的に説明されることが実はあまり多くないので「軽視されがち」と考えています。そんな細かい見た目を気にするより、内容や話し方を考えた方がいいだろと言われてしまいやすい。

一方で、私はスライドのデザインについて独自のこだわりをもっており、かつ、デザインを改善するためのたくさんのノウハウを持っています。それは単なる自己満足ではなく、プレゼンテーションの質向上に直結すると考えて実行してます。この重要性を訴えるため、あえて強調して書いてみたいと思います。

まず、スライドを使ったプレゼンにおいては視覚の情報量が大半(たしか50%以上)です。かつ、一枚のスライドにかける時間はほんの数十秒で、その短い時間内に情報を伝えきらないといけない。このように考えると、聴衆がスライドを読み取るために要する労力を最小化したいと考えるのは自然な発想です。

そのスライドを一回の発表で何十枚も見せられるならなおさらです。一枚のスライドの改善による影響は微々たるものでも、それが発表全体にわたると大きな効果になります。そのため「一枚一枚の見た目をどうするか」より「全体的なスライドデザインの指針や考え方」を確立すること重要と考えます。