tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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数学

特定の虚数乗法を持つような楕円曲線を作る方法

一つ前の記事と紛らわしいが、虚2次体 の整数環 が与えられたとき、自己同型環が となるような楕円曲線 を作ることができる。参考は、楕円曲線論概説(上)のp.121を読むこと。 を 0 でない の分数イデアルとする。埋め込み によって、 を の格子とみなす。…

j不変量が指定の値とするような楕円曲線のモデル

いつも忘れるのでメモ。[AEC III.1. Prop. 1.4 (c)] を参照すること。 に一致するような楕円曲線 のWeierstrassモデルを求める。 の値によって場合分けする。 のとき: のとき: のとき:

「趣味で数学をすること」の壁

「趣味で数学をすること」については、2つの壁があると思っています。一つの壁は「まわりに話のできる仲間がいない」ということです。学んだことを誰かに語りかけたい気持ちは、誰しもどこかに持っているはずですが、一方で、実生活の中で自身の学んだ数学…

平方完成と2次拡大

標数が2でない体Kの2次拡大の同型類全体は、K^×/(K^×)^2という可換群の非単位元全体と1対1対応があります。これは平方完成というテクニックによって示されます。そう、中学で習うあの平方完成です。標数が2の場合にどう変化があるか考えてみましょう。— p…

素数ゼミの記事

ネットニュース www.huffingtonpost.jpnature https://www.nature.com/articles/s42003-018-0025-7

モチーフ

モチーフ-代数多様体の数論的骨格/望月新一/ http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~motizuki/Mochiifu.pdf いつかこの記事の背景にあるようなことを理解できるようになりたい

積分定数(その2)

まさかその2を書くことになるとは思わなかった。先の記事をツイートしたら、umezakiさんという方から「積分定数は0次のド・ラームコホモロジーとみなせる」ということを教えて貰った。感激したので、忘れないうちにメモ。ド・ラームコホモロジーについては…

積分定数

数学ガール「ポアンカレ予想」を読んでいて(あまり本題に関係なく)感動したのが、不定積分についてである。 の不定積分は、原始関数 を用いて以下のように表せる。ここで、 は積分定数である。高校の時からずっと機械的に(もしくはおまじない的に)「 は…

ガロア表現に関する資料

ガロア表現に関する参考資料をまとめます。 ガロア表現サマースクール 整数論サマースクール2009「l進ガロア表現とガロア変形の整数論」 報告集の原稿ページ http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ochiai/ss2009proceeding/ss2009proceeding.html特に以下を読…

Chebotarevの密度定理の使い方がわかった

2つのガロア表現 が与えられたとき,その同値性の判定は簡単ではない.ところが,それぞれのガロア表現の半単純化 に関して言えば, のすべての不分岐な素点 に対するフロベニウス元()のトレースの値 の一致によって同値性を判定できる.面白いことに,こ…

2次体の類数と連分数

ものさんという方に教えていただいたのですが、ザギヤー「数論入門 ゼータ関数と2次体」という本に面白い定理が載っていたので紹介します。数論入門―ゼータ関数と2次体作者: D.B.ザギヤー,片山孝次出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1990/08/02メディア: 単…

j-函数に関するあれこれメモ

山本先生の「数論入門2(岩波講座現代数学への入門)」に、僕が知りたかった「楕円モジュラー関数」と「虚二次体」の話が、この上なくわかりやすく書いてあったので、ここにご報告します。岩波講座 現代数学への入門〈5〉(9-10)数論入門1・2作者: 山本芳彦…

円分体の類数(相対類数)を調べたときのメモ

Wikipedia Cyclotomic field - Wikipedia 円分体 - Wikipedia 相対類数 (OEIS) 素数 p に対して A000927 - OEIS100 までの素数 https://oeis.org/A000927/b000927.txt一般の n に対して A061653 - OEISn = 162 まで https://oeis.org/A061653/b061653.txt Wi…

触れるゼータ関数はほかにもあった!

ボストン科学博物館でみれるらしい.ボストン科学博物館に、ζ関数を拝みにきました。 pic.twitter.com/SIqF5X9uPF— akita11/JunichiAkita (@akita11) August 24, 2016実際,公式ウェブサイトにいくと,それらしい写真が. www.mos.org そして3Dプリンタで出…

アイゼンシュタイン級数

英語版のアイゼンシュタイン級数の項目がなかなか充実しています Eisenstein series - Wikipedia, the free encyclopedia まず、保型性の証明が好き。あと、アイゼンシュタイン級数のq展開には約数関数が出てくる(約数関数のお化けみたいな級数)のだけど、…

ネットで読める岩澤理論の解説

最近この分野に興味をもって勉強しています。自分用の備忘録としてまとめておきます。 解説 原隆さん、総実代数体の非可換岩澤理論の展開 、@城崎新人セミナー https://www.math.kyoto-u.ac.jp/insei/proceeding/2008/hara.pdf@整数論サマースクール2008 h…

4n+1 型の合成数は2つの平方数の和であらわせるか?

私の日曜数学活動をサポートしてくれているパートナーから以下のような趣旨の質問をもらった。 (4n+1型の素数が必ず2つの平方数の和でかけるが)4n+1型の合成数は2つの平方数の和で表せるのか? これについては実はあまり深く考えたことがなかった。とて…

ガウス和が二次体の元になるのはなぜ?

ガウス和 をのように定義したとき、となるような square-free な整数 が存在することを示します。 は、二次体に付随するディリクレ指標で、以下のような準同型写像として定義されます。 以下は仮定します。 まず、 とおく。準同型定理より は の正規部分群で…

偶数ゼータの分母の求め方

こんなツイートをみかけたので。こうですか pic.twitter.com/u9LmEuq9WZ— ╭( ・ㅂ・)وउन्माद भाल्ल (@ryokubu2718) 2016年3月12日分母は von-Staudt & Clausen の定理があるので簡単に求まります。分子は、イデアル類群と関係があったりで、まったくもって自明…

存在して一意であれば「名前」をつけよう

「存在性の証明」と「一意性の証明」が大事だという感覚がなんとなくわかってきました。この2つを保証すれば、一意に定まる数(や関数など)を考えることができるんですね。一意に定まると言うことは、これに「名前」をつけることができるのです。たとえば…

「楕円曲線って何ですか?」という質問に対して、定義を答えて返すのはきっと何の意味もない

最近、楕円曲線に関しての進展があったようで、twitterの数学徒の間では話題になっているみたいである。楕円曲線は、フェルマーの最終定理の話ではよく出てくるし、ミレニアム問題のBSD予想にも関わっているし、何かとよく聞くワードではある。こういう状況…

Q. 無限級数の掛け算のやり方 についての回答

本編のブログ、 tsujimotter.hatenablog.comの数式展開について、以下のような質問をいただきました。okwave.jp 上に書いた私の回答におきまして、数式箇所が読みづらかったため、こちらのブログに同様の内容を書き留めておきたいと思います。時間ができたら…

ユークリッドにとって図そのものが数学的対象

最近、折り紙の作図可能性について議論したり、チューリング・マシンの計算理論について調べまくっているのですが、その中でユークリッドの作図理論についての考えが、まるで一変したのでメモしておきます。***作図の理論は、定木とコンパスのみを使った…

今,密かに「互いに素」がマイブーム

今,「互いに素」が熱い。互いに素という言葉は,否定的な響きのする数学用語であるが,こと整数論においては非常に強力な武器なのだ。 互いに素といえば「ユークリッドの互除法」を思い出す。互いに素な2つの数から,ユークリッドの互除法により という数…

正十二面体群を可視化するための戦略

正十二面体群 を,特殊直交群 に埋め込んでやれば,内部状態を「回転方向(法線)ベクトル」と「回転角」だけで制御できる。ということに気づいた。これは良い作戦ではないだろうか。 正多面体群2 [物理のかぎしっぽ]

続・xx + xy + 6yy の形で表せる素数

として, と書ける素数について。以下の記事でいろいろ面白い事実について書いた。 tsujimotter.hatenablog.com の式を展開し,その の係数を としたとき, となるような素数 は, の形で表せるという。上の記事を書いたときは,その仕組みは分かっておらず…

三重積に関する面白い話

ヤコビの三重積に関連した面白い記事を見つけたのでメモ。A remark on Borcherds construction of Jacobi forms http://www.ma.noda.tus.ac.jp/u/ha/Data/kyushu.pdf あと、五角数定理は分割数とも関係するらしい。 もうひとつの五角数定理

X^3-2 が 素数 p で完全分解する条件と三次剰余の相互法則

解きたい問題は,素数 に対して, で が完全分解するような の条件。三次剰余の相互法則を使って解く。以下の記事に置ける TSKi さんのコメントを受けて,一気に理解が深まったので,忘れないうちにメモ。tsujimotter.hatenablog.com 三次剰余の相互法則 と…

絶対ガロア群とガロア表現

難しい文章を読んでいるとたまに見るんですが、何やらけったいな名前だと思っていたのです。が、実際のところはたいした話ではなかった。方程式論とかで使う 上のガロア拡大としては、 上の最小多項式の根である代数的な元 を考えて を に添加した拡大体 を…

ブラハマグプタの恒等式

この式はブラハマグプタの恒等式といいますが、実は「2個の平方数の和の全体が積に関して閉じている」ことを示す式だったんですね。高校で、意味もなく因数分解の計算させられた記憶しかない式ですが、ちゃんと意味のある式なんですね。感動。 関連ページ: …