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tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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ネイピア数 e をいかにして自然に導入するか

ネイピア数  e 。自然対数の底。自然対数という割に、ぜんぜん自然じゃない、と私は思っていた。どの説明を聞いてもどうにもしっくりこない。

つい先日、この数を人に説明する機会があったのだが、どうにも歯切れの悪い説明になってしまった。

この数を、どうにかして自然に導入する方法はないだろうか。これが本日のテーマである。


色々説明の方向性はあると思うが、この記事では、

 (e^x)' = e^x

となるような  e をネイピア数と呼ぶ、という導入の仕方を採用しよう。


 e を定義する前から  e を使うのは、気持ちが悪いので、ネイピア数  e のことを一回サッパリ忘れよう。


まずは、一般の数  a に対する指数関数  a^x を考えよう。

微分の定義より、

 \displaystyle (a^x)' = \lim_{h\to 0} \frac{a^{x+h} - a^x}{h} \tag{1}

となる。指数法則を使ってもう少しだけ変形できる。

 \displaystyle = a^x \lim_{h\to 0} \frac{a^{h} - 1}{h} \tag{2}

ここで手が止まる。さぁ、困った。


さらに進めるための方法は一応ある。唐突だが以下のような変数変換を考える

 \displaystyle a^{h} - 1 = \frac{1}{t}

 h \to 0 のとき  t \to \infty であることを確認しておく。

また、

 \displaystyle h = \log_a\left(1 + \frac{1}{t}\right)

のようにも変形できる。

これらを式 (2) に代入しよう。すると、以下のように変数変換できる。

 \displaystyle = a^x \lim_{t\to \infty} \frac{1}{t\log_a\left(1 + \frac{1}{t}\right)}

対数関数の性質を使って変形すると、

 \displaystyle = a^x \lim_{t\to \infty} \frac{1}{\log_a\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t}

となるだろう。ここで、分母にある対数関数の底は定数なので、 \lim は対数の中に入れてもかまわない。

したがって、こうだ。

 \displaystyle = a^x \frac{1}{\log_a \left[\lim_{t\to \infty}\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t \right]}

分数が気持ち悪いので、対数の性質を使って、底と真数をひっくり返して分数を消してしまおう。

 \displaystyle = a^x \log_{\lim_{t\to \infty}\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t } (a)


式 (1) の左辺をもう一度もってくると、

 \displaystyle (a^x)' = a^x \log_{\lim_{t\to \infty}\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t } (a) \tag{3}

となるだろう。

式 (3) の意味を考えよう。

もし、 a という数が、右辺の対数の底と一致する、つまり、

 \displaystyle a = \lim_{t\to \infty}\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t

が成り立てば、上の式は

 \displaystyle (a^x)' = a^x

となり簡単になる。すなわち、微分しても元の形に戻るということだ。

つまり、このような数

 \displaystyle a = \lim_{t\to \infty}\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t

は「微分に対して指数関数を保存する」という特別な数なのである。

特別な数には、名前をつける必要があるだろう。この数を今から 「ネイピア数」 と呼ぶことにする。

記号も  a だと色々と紛らわしいので、特別な記号を付けよう。そうだな  e としておこうか。

こうして、ネイピア数  e が以下のように定義されるわけだ。

《ネイピア数の定義》

 \displaystyle e := \lim_{t\to \infty}\left(1 + \frac{1}{t}\right)^t \tag{4}

どうだ。だいぶ自然な流れだろう?

この数の意味はもちろん、微分に対して指数関数を保存する数である。



気になる点があるとすれば、ネイピア数の定義式 (4) は、果たして1つの値に収束するするのだろうか、ということだ。

本記事の締めとして、数値的にではあるが、確認してみよう。

こういうときは Google 電卓に任せるのが一番手っ取り早い。

(1+1/100)^100 - Google 検索

(1+1/10000)^10000 - Google 検索

(1+1/1000000)^1000000 - Google 検索

上から順にクリックしていくと、だんだんとある一定の値に近づいていくことが見て取れるだろう。

これこそがネイピア数の値である。

 e = 2.71828...


こうして特別な数、ネイピア数  e が見事導入されたわけだが、納得して頂けたであろうか?

参考記事

対数から始まってネイピア数を導く話。これもかなり分かりやすい。

http://naop.jp/text/3/bibun/bibun6.html