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tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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続・xx + xy + 6yy の形で表せる素数

数学

 f(x,  y) = x^2 + xy + 6y^2 として, p = f(x, y) と書ける素数について。

以下の記事でいろいろ面白い事実について書いた。
tsujimotter.hatenablog.com


 \displaystyle q\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^n)(1-q^{23n}) \tag{1}

の式を展開し,その  q^n の係数を  a(n) としたとき, a(p) = 2 となるような素数  p は, p = f(x, y) の形で表せるという。

上の記事を書いたときは,その仕組みは分かっておらず,ただ「不思議だなぁと」思っていたのだが,ようやくその仕組みが理解できたのである。ここにメモをしておきたい。


なお, a(p) = 2 になる素数  p の例を挙げると,

 \begin{eqnarray} 23 &=& f(-1, 2) &=& (-1)^2 + (-1)\cdot 2 + 6\cdot 2^2 \\
 59 &=& f(5, 2) &=& 5^2 + 5\cdot 2 + 6\cdot 2^2 \\
 101 &=& f(1, 4) &=& 1^2 + 1\cdot 4 + 6\cdot 4^2 \end{eqnarray}

となる。


 (1) はデデキントのイータ関数により表すことができる。

 \displaystyle \eta(\tau) = q^{\frac{1}{24}} \prod_{n=1}^{\infty} (1-q^n), \hspace{20px} ただし,q = e^{2\pi i \tau}

この式を使うと, (1) 式は以下のように表せる。

 \displaystyle \eta(\tau)\eta(23\tau) = q\prod_{n=1}^{\infty}(1-q^n)(1-q^{23n}) \tag{1}


この式を,五角数定理を使って変換すると,

 \displaystyle \eta(\tau)\eta(23\tau) = \sum_{m=-\infty}^{\infty}\sum_{n=-\infty}^{\infty} (-1)^{m+n} q^{ \frac{(6m+1)^2 + 23(6n+1)^2}{24} }

となる。


よって, q^p の係数  a(p) は,

 \displaystyle (6m+1)^2 + 23(6n+1)^2 = 24p

を満たす素数  p のパターンの列挙により計算できる。


ここで, p = f(x, y) を満たす素数の場合,その解を  x, y とする。

 \begin{eqnarray} X &=& x - 11y \\ Y &=& x + y \end{eqnarray}

とおくと,

 \begin{eqnarray} X^2 + 23Y^2 = (x-11y)^2 + 23(x+y)^2 = 24(x^2 + xy + 6y^2) = 24p \end{eqnarray}

となって条件を満たす。


このときに,

 \begin{eqnarray} x-11y &=& 6m+1  \\ x+y &=& 6n+1 \end{eqnarray}

を満たす  m, n の組を考える。

 p = f(x, y) を満たす  x, y の組は4組存在するが,上の式を満たす  m, n は2組であり,なおかつ  m+n はどちらも偶数となるので,結局  a(p) = 2 となる。


具体例を考えよう。 p = 59 とする。

 59 = f(x, y) となるような, x, y の組をそれぞれ  (x_i, y_i)(ただし,i = 1, 2, 3, 4) とすると,

 \begin{eqnarray} (x_1, y_1) &=& (-7, \; 2)  \\ (x_2, y_2) &=& (7, \; -2) \\ (x_3, y_3) &=& (5, \; 2) \\ (x_4, y_4) &=& (-5, \; -2) \end{eqnarray}


ここで,

 \begin{eqnarray} X_1 &=& x_1 -11y_1 \\ &=& -7 - 11\cdot 2 \\  &=& -29 \\ &\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

 \begin{eqnarray} Y_1 &=& x_1 +y_1 \\ &=& -7 +  2 \\  &=& -5 \\ &\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

となり,対応する  (m_1, n_1) (-5, -1) である。このとき, m_1 + n_1 = -6 で偶数。


また,

 \begin{eqnarray} X_2 &=& x_2 -11y_2 \\ &=& 7 - 11\cdot (-2) \\  &=& 29 \\ &\not\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

 \begin{eqnarray} Y_2 &=& x_2 +y_2 \\ &=& 7 -  2 \\  &=& 5 \\ &\not\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

となり,こちらは不適。


次に,

 \begin{eqnarray} X_3 &=& x_3 -11y_3 \\ &=& 5 - 11\cdot 2 \\  &=& -17 \\ &\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

 \begin{eqnarray} Y_3 &=& x_3 +y_3 \\ &=& 5 +  2 \\  &=& 7 \\ &\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

となり,対応する  (m_3, n_3) (-3, 1) である。このとき, m_3 + n_3 = -2 で偶数。


また,

 \begin{eqnarray} X_4 &=& x_4 -11y_4 \\ &=& (-5) - 11\cdot (-2) \\  &=& 17 \\ &\not\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

 \begin{eqnarray} Y_4 &=& x_4 +y_4 \\ &=& (-5) +  (-2) \\  &=& -7 \\ &\not\equiv& 1 \pmod 6 \end{eqnarray}

となり,こちらは不適。


よって,

 \displaystyle \begin{eqnarray} && (-1)^{m_1+n_1}q^{\frac{(6m_1+1)^2 + 23(6n_1+1)^2}{24}} + (-1)^{m_3+n_3}q^{\frac{(6m_3+1)^2 + 23(6n_3+1)^2}{24}} \\ 
&& = (-1)^{\{(-5)+(-1)\}}q^{\frac{(6\cdot(-5)+1)^2 + 23(6\cdot(-1)+1)^2}{24}} + (-1)^{\{(-3)+1\}}q^{\frac{(6\cdot(-3)+1)^2 + 23(6\cdot 1+1)^2}{24}} \\ 
&& = (-1)^{-6} q^{\frac{24\cdot 59}{24}} + (-1)^{-2} q^{\frac{24\cdot 59}{24}} \\ 
&& = 2q^{59} \\ 
&& = a(59) q^{59} 
\end{eqnarray}

となり, a(59) = 2 が得られた。



今回は,

 \eta(\tau)\eta(23\tau)

の形を使ったが,たとえば

 \eta(6\tau)\eta(18\tau)

とか,

 \eta^2(\tau)\eta^2(11\tau)

 \eta(2\tau)\eta(22\tau)

 \eta(8\tau)\eta(16\tau)

の形でも同様の法則を導ける。

何となく,二次形式の判別式とイータ関数に使っている数に関係がある気がする。 x^2 + xy + 6y^2 の判別式は  D = -23 だが 対するイータ関数の係数は  1\cdot 23 = 23 だし, x^2 + 27y^2 の判別式は  D = -108 だが 対するイータ関数の係数は  6\cdot 18 = 108 である。


あとは,ここにあるような「エータ商」というような式を使うのもいいかもしれない。面白い。

http://www.ma.noda.tus.ac.jp/u/ha/Data/kyushu.pdf

参考文献

数論を学ぶ人のための相互法則入門 (数理情報科学シリーズ)

数論を学ぶ人のための相互法則入門 (数理情報科学シリーズ)