tsujimotter-sub.hatenablog.com
の続き。
ポイントをまとめていく。あくまで自分のメモ用なので、分かりにくくても勘弁。
第2週目(2017/1/27 〜 2/2)
1/27:べき級数環としての岩澤代数(2.2.1)
- 岩澤代数はべき級数環である [J-P. Serre, 103]
- を に移すような(非標準的な)同型 がある
- 完備軍艦として見かけ上抽象的に定義された が比較的馴染み深い形式的べき級数と同型(心理的にも抵抗が少なくなり、可換環論的な取り扱いも楽になる
- 一方で、同一視は の選び方に依存する、「非標準的な」構成になっている。
- 「標準的/非標準的」の例がもっとほしい
- 「(p進)Weierstrassの準備定理」と「 が を極大イデアルとする Krull次元が1の完備正則局所環であること」から、系として以下がわかる
- は Krull次元が2の完備正則局所環
- 素イデアルは単項素イデアル または (既約な非単数根多項式)
- 極大イデアルは (唯一の非単項イデアル)
- これが「可環論的に取り扱いが楽」っていう例になっているのかな?
1/28:べき級数環としての岩澤代数(2.2.1)(続き)、
- ワイエルシュトラスの準備定理の証明
- 補題2.15 が完備局所環とするとき が可逆限であるための必要十分条件は となることである。
- は局所環なので極大イデアルが1個ある。 ならば、 は極大イデアルに含まれる。 は の極大イデアルに含まれるので、 は可逆限ではない。逆は形式的な計算より得られる。
- 補題2.16 を を極大イデアルにもつ完備ネーター局所環とする。べき級数 に対して、ある自然数 が存在して かつ と仮定。このとき、 次係数が で 次以下の係数がすべて に入る と (可逆元)が存在して と一意に表せる
- を で割って で考えて、 で帰納法を使う
1/29:測度のなす環としての岩澤代数(2.2.2)
- を値に持つ 上の測度 を考えて、この測度のなす 加群を と表す
- に対して、 上の函数 に畳み込み積を定義することで、 は可換環となる。単位元は、 の単位元 に対応するDirac測度
- 補題2.19 自然な環同型 がある
- 命題2.20 の連続指標 は、先の同型写像と可換である(可換図式がある)
- 前のセクションもそうだけど、岩澤代数 の同型をたくさん用意して、そっちによって色々議論できるように準備しているようにみえる。
1/30:正則函数環としての岩澤代数(2.2.3)
- 上の 値連続指標 を考える(これが「空間」上の「点」とみなす)
- の位相的生成元 を固定すると、 という全単射がある
- 逆に、 と定めることで は空間 (乗法の単位元1を中心としたp進単位開円板)上のある種の函数環と思える
- 上記の函数環には「一致の定理」の類似が成り立つ
- が無限個の異なる において を満たすとき が成り立つ
- 証明はp進Weierstrassの準備定理を用いて、 ならば単位円板上の零点の個数が有限であることを導いて(導ける?)その対偶をとる
- 特に円分 拡大 のとき、以下の数論的指標が重要となる
- 開部分群 が存在して となる( は円分指標)
- 重さ が重要。これを選ぶごとに の数論的指標は可算無限個ある
- 一致の定理により、p進L函数の定まった重さ の数論的指標での特殊値たちによって、p進L函数を一意に特徴付けられる
- 以外の多変数岩澤代数にも一般化されるらしい
1/31:変形環やHecke環としての岩澤代数(2.2.4)
- 「岩澤代数はさまざまなp進理論において形を変えつつ登場する」
- ガロワ表現の変形環(Mazur)あのバリーメイザー
- 上の普遍ガロワ変形 がある(いわゆる ってやつ?)
- 進 Hecke 環
- に対する保型形式はⅡ部・Ⅲ部で登場
- に対する保型形式
- のレベル を持ち係数環 の保型形式の Hecke 環 導手 の狭義イデアル類群 の 係数群環
- 岩澤代数もレベル の狭義イデアル類群 の 係数群環 の射影極限なので、 のレベル の保型形式の空間上の Hecke 環の極限としての解釈を持つ
- 本書の主張「肥田理論を含めたガロワ表現の変形を中心に据えて、岩澤理論を組み立て直すこと」
2/1:岩澤加群の性質(2.3)(〜p.32)
- 岩澤代数上のコンパクト加群 = 岩澤加群
- 例:イデアル類群など(岩澤代数の作用が入る)
- 岩澤加群に付随する不変量(岩澤不変量)や性質を取り出したい
- 前提:可換環論(松村)、蛇の補題などの加群の図式・ホモロジー代数(河田)
- 補題2.23 コンパクトな位相的 加群 が連続な 作用を持つとき、 は自然にコンパクト 加群の構造を持つ
- が同型であることを示す( は自然に 加群より、極限とって右辺は 上の加群)
- 単射: のカーネルは である。 のコンパクト性とネーター性より、これをゼロにできる。
- 全射: の元を とおくと、各 で は閉集合。 のプルバックを考えて、 のコンパクト性より空集合でないことを示す。
- が同型であることを示す( は自然に 加群より、極限とって右辺は 上の加群)
- Pontryagin双対 も 加群
- には とすると、 に対して として の作用が入る
- そういえば、楕円曲線のセルマー群のほうで Pontrjagin 双対が出てきた(たしかこれにしないと有限生成捩れ岩澤加群にならない)。
- 定理2.25(岩澤加群の位相的中山の補題)
- をコンパクト 加群として を極大イデアルとする。 が位数有限なら は有限生成 加群
- 一般の場合について述べた上で証明(明日)
2/2 :岩澤加群の基礎事項と有限性補題(2.3.1)(〜p.33)
- 一般の中山の補題を証明した(ざっくり言うと、 加群 が有限生成なら 加群 も有限生成。)
- のネーター性からクルルの交叉定理を使って、前回と同じように極限に飛ばすという流れ。面白い。
- 「2.3.2 ネーター正規整域上の加群の構造定理」にもちょろっと入った。
- 岩澤加群の構造定理(イデアルで割った剰余の直積で「擬同型」が作れる)を示すために一般的な場合で述べる
- 構造定理において、岩澤代数の「完備性」などの性質は本質的でない
- 定義の説明に「高さ」が出てくるらしい
- 「正規性」ってなんだろう・・・
二週も続いているのは、すごい。このまま継続したい
しばらく岩澤代数の基本的な話が続いたが、ようやく岩澤加群の構造定理の話に入ってきて、テンションが上がっている。先取りすると、構造定理によって任意の岩澤加群を「擬同型」という形で表現することができる。さらに表現によらない岩澤不変量が取り出せる。これが重要。
「可換環論」をちゃんと勉強していないので、よくわからない箇所が多々でてきた。ちゃんと勉強したほうがいいだろうか・・・。しかし時間がない。
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