tsujimotterの下書きノート

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朝岩澤理論4:岩澤理論とその展望(上)

第4週目に突入。

朝岩澤理論1:岩澤理論とその展望(上) - tsujimotterの下書きノート
朝岩澤理論2:岩澤理論とその展望(上) - tsujimotterの下書きノート
朝岩澤理論3:岩澤理論とその展望(上) - tsujimotterの下書きノート

の続き。


ポイントをまとめていく。あくまで自分のメモ用です。

第4週目(2017/2/10 〜 2017/2/16)

2/10:岩澤加群の特殊化に関する代数的な準備(2.3.4)(つづき)

 \#(\mathcal{M}/\omega_n(T) \mathcal{M}) = q^{\lambda e n + \mu p^n + \nu}

  • 前回の上の式を証明するために、いろいろ補題を証明している。
  • ついに「蛇の補題🐍」が出てきた。これは楽しい!!!
  • あと、完全系列の位数の等式を作っているのだけれど、これはエルブランの補題(コホモロジーの関係式)みたいなのを使っているのかしら?よくわからない

2/11:岩澤加群の特殊化に関する代数的な準備(2.3.4)(つづき)

  • 蛇の補題🐍が今日も活躍
  • 完全系列にたいして、 \omega_n(T) 倍写像をした、あるいは  \mathcal{O} をtensorした完全系列をつくり、2本の完全系列に対して蛇の補題🐍を実行すると、Coker同士の要素数の関係式が出てくる。
  • 単射:ker が 0 はよく使うので重要
  • メインの補題の証明:
    •  \mathcal{O} の議論をより大きな  \mathcal{O}' 上の議論に持って行く。この  \mathcal{O}' F(T) が分解できるまで十分大きな拡大体としても問題ないことを示す。
    • 次に F(T) = G(T)(T-\alpha) を利用して、蛇の補題🐍を使って次から次へ1次式へと落としていき、その1次式の議論を  \mathcal{O}[[T]] \simeq \mathbb{Z}[[T]] \otimes_{\mathbb{Z}_p} \mathcal{O} の同型から  \mathbb{Q}_p 上の円分多項式 の議論に持って行く。これもまた蛇の補題🐍を使う。
    • さらに、蛇の補題🐍を使って、 \mathbb{Z}[\zeta_{p^i}] \otimes_{\mathbb{Z}_p} \mathcal{O} の議論にもっていき、最後は  p 進的な性質で位数が剰余体の位数  q^e でかけることを示す。

2/12:岩澤加群の特殊化に関する代数的な準備(2.3.4)(つづき)

今日でこの2.3.4節が終わるので、しっかりまとめる。

 \newcommand{\m}{\mathcal{M}} \m を有限生成ねじれ  \newcommand{\o}{\mathcal{O}} \newcommand{\iwsw}{\o[[T]]} \iwsw 加群とする. ({\rm char}_{\iwsw}(\m), \omega_n(T) ) = 1 とすると,
 \displaystyle \#(\mathcal{M}/\omega_n(T) \mathcal{M}) = q^{\lambda e n + \mu p^n + \nu} \tag{1}

が成り立つ。

ただし, \lambda, \mu \m の岩澤不変量。 q は剰余位数  \#(\o / (\varpi) ) e p 進体  {\rm Frac}(\o) の絶対分岐指数。

この式を求めたいというのが当面の目標だった。これには基本岩澤加群の解析が必要であるが,これに蛇の補題🐍が大活躍する(計4回登場)。


基本岩澤加群  \newcommand{\fund}{{\rm fund}(\mathcal{M})} \fund

 \displaystyle \fund = \bigoplus_{i=0}^{s}\iwsw\big/(F_i(T)^{n_i}) \oplus \bigoplus_{j=0}^{t}\iwsw\big/(\varpi^{m_j})

とおく。前半

 \displaystyle \bigoplus_{i=0}^{s}\iwsw\big/(F_i(T)^{n_i})

 \lambda 不変量に関する部分,後半

 \displaystyle \bigoplus_{j=0}^{t}\iwsw\big/(\varpi^{m_j})

 \mu 不変量に関する部分である。


さて, \m は有限生成ねじれ  \iwsw 加群なので,構造定理より以下の短完全列が得られる。

 0\rightarrow Z \rightarrow \mathcal{M} \rightarrow \fund \rightarrow Z' \rightarrow 0

それぞれに, \times \omega_n(T) の射を適用して,もう一本の短完全列をつくる。図式を2つに分けて,蛇の補題 \times 2🐍🐍を適用することにより

 \#(\m /\omega_n(T)\m) = \#(\fund/\omega_n(T)\fund) \times \#(Z/\omega_n(T)Z)

を得る。 ({\rm char}_{\iwsw}(\m), \omega_n(T) ) = 1 より  \fund \to \fund の箇所は単射である( \newcommand{\Ker}{\rm Ker} \Ker は 0)を使った。

 \fund/\omega_n(T)\fund の箇所を解析することで

  •  \iwsw/(\omega_n(T), F_i(T)) から  q^{en} が( \lambda 部分)
  •  \iwsw/(\omega_n(T), \varpi) から  q^{p^n} が( \mu 部分)

出てくる。 \lambda 乗, \mu 乗に関しては,多項式に対する指数から得られる。


 q^{en} に関して:
 {\rm Frac}(\mathcal{O}') / {\rm Frac}(\mathcal{O}) の拡大を考えて,
 \# (\mathcal{O}'[[T]]/(\omega_n(T), F_i(T)) ) = \# (\iwsw/(\omega_n(T), F_i(T)) )^{[\mathcal{O}':\mathcal{O}]}

が成り立つので, F(T) が分解するまで十分大きな  \mathcal{O}' で議論して良い。


 F(T) = G(T)\times (T-\alpha) とすると,短完全列

 0 \rightarrow \iwsw \big/ (G(T)) \rightarrow \iwsw \big/ (F(T)) \rightarrow \iwsw \big/ (T-\alpha)

 \times \omega_n(T) の射を適用して短完全列,これに蛇の補題🐍を適用すると

 \# (\iwsw\big/(F(T), \omega_n(T))) = \# (\iwsw\big/(G(T), \omega_n(T))) \times \# (\iwsw\big/(T-\alpha, \omega_n(T)))

から,次数を一つ落とすことができる。これを続けて  T-\alpha に帰着できる。


また,

 \iwsw \big/(T-\alpha, \omega_n(T)) \simeq \newcommand{\zp}{\mathbb{Z}_p} \zp[[T]] \otimes_{\zp}\o \big/ (T-\alpha, \omega_n(T))

同型があるから, \zp で議論できる。

 \displaystyle \omega_n(T) = \prod_{i=1}^{n} \Phi_{p^i}(T+1)

として, \zeta_{p^i} \mathbb{Q}_p 上の最小多項式  \Phi_{p^i}(T+1) を使って書くと,自然な単射

 \displaystyle \zp[[T]] \big/(\omega_n(T)) \rightarrow \prod_{i=1}^{n}\zp[\zeta_{p^i}]

が得られる。これに, \otimes_{\zp} \o を施すと,以下の短完全列が得られる。

 \displaystyle 0 \rightarrow \zp[[T]] \otimes_{\zp} \o \big/ (\omega_n(T)) \rightarrow \prod_{i=1}^{n} \zp[\zeta_{p^i}] \otimes_{\zp}\o \rightarrow Z_n \otimes_{\zp} \o \rightarrow 0

それぞれに, \times (T-\alpha) の射を考えて(真ん中に対しては \times \prod_{i=1}^{n}( (\zeta_{p^i}-1)-\alpha) を当てる)可換図式を得る。この図式に,またもや蛇の補題🐍を適用すると

 \displaystyle \#(\zp[[T]] \otimes_{\zp} \o \big/ (T-\alpha, \omega_n(T))) = \prod_{i=1}^{n} \# (\zp[\zeta_{p^i}] \otimes_{\zp} \o \big/ ( (\zeta_{p^i} - 1) - \alpha) )

を得る。


 p 進体に関する基本事項によって右辺の計算をする。 m(\alpha) \newcommand{\ord}{{\rm ord}} \ord_{p}(\zeta_{p^m} - 1) = \frac{1}{(p-1)p^{m-1}} \geq \ord_p(\alpha) を満たす自然数のうち最大のものとすると, i > m(\alpha) を満たす  i に対して

 \# (\zp[\zeta_{p^i}] \otimes_{\zp} \o \big/ ( (\zeta_{p^i} - 1) - \alpha)) = \#(\mathbb{F}_p \otimes_{\zp} \o) = q^e

が成り立つ。

よって, n > m(\alpha) のとき, q^{e(n-m(\alpha))} \omega_{m(\alpha)}(T) で割った部分に分けられる。このとき,後半部分については

 \nu(F(T)) = \ord_q( \#(\zp[[T]] \otimes_{\zp}\o \big/ (T-\alpha,  \omega_n(T)) ) ) - e m(\alpha)

とかける。よって, q^{e + \nu(F(T))}

が出てくる。


 q^{p^n} に関して:
 \begin{align} \iwsw \big/ (\varpi, \omega_n(T)) &\simeq (\o / \varpi)[[T]] \big/ (\omega_n(T)) \\ &\simeq (\o / \varpi)[[T]] \big/ (T^{p^n}) \\ &\simeq  (\o/\varpi)^{\oplus p^n} \end{align}

から,

 \# (\iwsw \big/ (\varpi, \omega_n(T))) = q^{p^n}

が得られる。


2/13:イデアル類群の円分岩澤理論(3章)

  • 今日から第3章
  • ついに岩澤類数公式が登場!
    •  K_{\infty}/K を勝手な  \zp 拡大とする.第  n 中間体  K_n = (K_\infty)^{\Gamma^{p^n}} の類数の  p 部分( p べきして消える部分群)は以下を満たす

 \#{\rm Cl}(K_n)[p^{\infty}] = p^{\lambda n + \mu p^n + \nu}

  • 以上の  K_n K_{\infty}/K の中間体すべてを尽くしていることに注意
  • 戦略
    •  K_\infty の最大不分岐アーベル拡大  L_\infty を考えて,そのガロア群を  X_{K_\infty} とする.
    •  \Gamma = {\rm Gal}(K_\infty/K) とすると, X_{K_\infty} は自然な連続  \Gamma 作用を持つ
    • たぶん,これが有限生成ねじれ岩澤加群になるので,昨日の内容を使って公式を導ける(まだやってないので推測)
    • イデアル類群と最大アーベル拡大のガロア群は同型なので、これで類数公式の完成(まだやってないので推測)

2/14:寝坊につきお休み

  • 連続記録が途絶えてしまった・・・残念

2/15:岩澤類数公式の証明(3.1.2)

  • 昨日のお休みを回収するべく、ちょっと長めに時間をとった。
  • 岩澤類数公式の方針は 2/13 に書いた通り。ただちょっとややこしくて、ガロア理論と不分岐拡大を使って頑張って  {\rm Gal}(L_n/K_n) \simeq X_{K_\infty}/(\gamma^{p^n} - 1)X_{K_\infty} を導く
  •  L_{\infty}/K_{\infty} K_\infty の最大不分岐pべき(pro-p?)拡大として、 X_{K_\infty} はそのガロア群
  • 今回は以下の2点を仮定した(この方が筋が見えやすい):
    • [仮定1]  K の素点で  p \in \mathbb{Q} の上にあるものはただ一つ(これを  \mathfrak{p} \in K とおく)
    • [仮定2]  K における唯一の  p 上の素点は  K_\infty/K において完全分岐する
  • 流れ:
    •  G_n = {\rm Gal}(L_\infty/ K_n) の交換子群の位相的閉包  \overline{[G_n, G_n]} を考える。固定体を考えることで, (\gamma^{p^n} - 1)X_{K_\infty} \simeq \overline{[G_n, G_n]} が示せる。
    •  I_n \subset G_n \mathfrak{p} 上にある  K_n の上の一意的な素点での惰性部分群とする。 L_\infty/K_\infty は不分岐拡大で, K_n^{I_n}/K_n で惰性してそこから  L_\infty/K_n^{I_n} で完全分岐するので,これらの拡大は独立に進む。つまり  I_n \cap X_{K_\infty} = \{1\} である。よくわかってないが  I_n \twoheadrightarrow G_n/X_{K_\infty} もわかる。よって  G_n \simeq I_n \ltimes X_{K_\infty}
    • これより  {\rm Gal}(L_n/K_n) \simeq X_{K_\infty}/(\gamma^{p^n} - 1)X_{K_\infty} がわかる
    • 類体論より  {\rm Gal}(L_n/K_n) \simeq {\rm Cl}(K_n)[p^{\infty}] である
    • イデアル類群は有限アーベル群より有限生成ねじれ  \mathbb{Z}_p 加群。したがって  X_{K_\infty}/(\gamma^{p^n} - 1)X_{K_\infty} は有限生成ねじれ  \mathbb{Z}_p 加群。
    • 系2.40(2月7日)より、 X_{K_\infty} は有限生成ねじれ岩澤加群。
    • したがって、2/12 に示した定理 2.45 により  \mathcal{M} = X_{K_\infty} として類数公式が成り立つ。証明終了。
  • 不分岐拡大を使ってうまく同型を示して行って、最後に類体論でバシッとイデアル類群に対応づけるのかっこいい

2/16:岩澤類数公式の証明(3.1.2)(つづき)

  • 上の2つを仮定しない、一般の場合の岩澤類数公式の証明をした
  • ちょっと難しくて証明の流れをかいつまんで説明できない・・・。復習が必要。
    • まず、  K_\infty/K の十分大きな中間体  K_{n_0}/K を持ってきても類数公式を示すのに問題ない( K_{\infty}/K_{n_0} において  K_{n_0} の分岐する素点  \newcommand{\pee}{\mathfrak{p}} \pee_1, \cdots, \pee_s は完全分岐する)
    • 以上の仮定より惰性部分群  I_{\pee_j} \subset \newcommand{\Gal}{{\rm Gal}} \Gal(L_\infty/K) は、 \Gamma と同型である。位相的生成元  \gamma \in \Gamma に対応する  I_{\pee_j} の元を  \gamma_j とおく。
    • 一般の場合には、 {\rm Gal}(L_n/K_n) \simeq X_{K_\infty}/(\gamma^{p^n} - 1)X_{K_\infty} とはならず(右辺が無限群となる場合もある)、実際は {\rm Gal}(L_n/K_n) \simeq (X_{K_\infty}/(\gamma^{p^n} - 1)X_{K_\infty}) \big/ \overline{\langle \gamma_1^{p^n}, \cdots \gamma_s^{p^n} \rangle} となる。
    • これより、不分岐類体論と合わせて次が示される  {\rm Cl}(K_n)[p^{\infty}] \simeq \Gal(L_n/K_n) \simeq X_{K_\infty}\big/ \frac{\gamma^{p^n} - 1}{\gamma - 1} Y_{K_\infty}
    •  \#{\rm Cl}(K_n)[p^{\infty}] = \#(X_{K_\infty}/Y_{K_\infty}) \cdot \# \left( Y_{K_\infty} \big/ \frac{\gamma^{p^n} - 1}{\gamma - 1} Y_{K_\infty} \right) より、 p^{\nu''} = \#(X_{K_\infty}/Y_{K_\infty}) = \#{\rm Cl}(K_0)[p^\infty] とおいて、 \m = Y_{K_\infty} として岩澤類数公式が成り立つ。

雑感

  • あとで書く
  • 一回休んでしまったのがめちゃめちゃ悔しい・・・。


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