を多項式環のイデアルとする。多項式環なので は多項式のイメージ。ちなみに一変数っぽく書いているけど、 である。
ここで、多項式(イデアル)の 零点集合
を考える。多項式の零点を集めた集合のことで、ようするに楕円曲線 とか円 の解の集合みたいなものを考えたいということだ。
イデアルと零点の立場を逆転させてみよう。 を適当な代数的集合とする。 を零点にもつような多項式の集合を考える。
これは のイデアルとなる。ようするに零点集合として を含むような多項式全部のせ。
さて、ここが一番重要だが が の元によって生成されるとき、 は 上定義されるという。このとき のように表す。「 上定義される」というのはここからきていたのだ。
そもそも「生成される」とあるが、 は有限個の基底から生成されるのか?イエスだ。ヒルベルトがいっている。ヒルベルトの基底定理といって、 が有限生成であることが保証されている。これらが全部 上の多項式になっていれば 上定義されるということだ。
例
円は を満たす 上の代数的集合だ。 とすると、 であり、 は の零点集合である。
ここで、 としたとき、 も を零点に持つ多項式イデアルである。よって の元。
また、 みたいなやばそうなやつに対しても、 は を零点に持つ多項式イデアルだ。これも の元。しかし明らかに の元ではない。
一方で、 ではあり、 である。したがって、 は の生成するイデアルの中に入っちゃっているわけだ。
よって、証明はしていないが、ここまで見た例の中でいうと、 の生成元 は 上の多項式になっており、 は 上定義されていそうである。
こんな感じで考えれば良いと思う。
たとえば、楕円曲線を生成する多項式 のときも、 の係数が何になっているか考えれば十分と思う。具体的には であるような係数体が、楕円曲線の定義体になっていると考えればよさそう。
詳細は [AEC, I. Algebraic Varieties, p.2] あたりを参照。