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tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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X^3-2 が 素数 p で完全分解する条件と三次剰余の相互法則

解きたい問題は,素数  p に対して, \mod p X^3 - 2 が完全分解するような  p の条件。三次剰余の相互法則を使って解く。

以下の記事に置ける TSKi さんのコメントを受けて,一気に理解が深まったので,忘れないうちにメモ。

tsujimotter.hatenablog.com

三次剰余の相互法則

 \displaystyle \omega = \frac{-1+ \sqrt{-3}}{2} とする。

 K = \mathbb{Q}(\omega) の整数環  \mathcal{O}_K 上の準素な元  \alpha, \; \beta に対して,以下が成り立つ。

 \displaystyle \left(\frac{\alpha}{\;\beta\;}\right)_3 = \left(\frac{\beta}{\;\alpha\;}\right)_3

平方剰余の相互法則よりきれいにかけるんですね。

ポイントは, \mathbb{Z} 上ではなく,  \mathcal{O}_K = \mathbb{Z}[\omega] 上で考えている点。だから,平方剰余よりややこしくなる。

準素とは:
 \mathcal{O}_K における素数  \gamma = a + b\omega が, \gamma \equiv 2 \pmod 3 のとき,すなわち, a\equiv 2 \pmod 3, \;\; b\equiv 3 \pmod 0 を満たすとき, \gamma を準素という。

与えられた素数  \gamma \in \mathcal{O}_K に対して,同伴な数は以下の6つあるが,その中で準素な数は1つだけであることが示せる。

 \begin{eqnarray} \gamma &=& a+b\omega, \;\;\; &\omega\gamma &=& -b + (a-b)\omega, \;\;\; &\omega^2\gamma &=& (b - a)  - a\omega, \\ -\gamma &=& -a-b\omega, \;\;\; -&\omega\gamma &=& b + (b-a)\omega, \;\;\; -&\omega^2\gamma &=& (a - b)  + a\omega \end{eqnarray}

イデアルを使えば,同伴な数をそのままひっくるめて扱えるから,この辺はイデアルで考えた方が簡単になりそう。

解法

 p \equiv 1 \pmod 3 である素数  p に対して, \mod p X^3 - 2 が完全分解する条件を考える。

 \displaystyle X^3 \equiv 2 \pmod p \;\;  \Longleftrightarrow \;\; \left(\frac{2}{\;\ \gamma \;}\right)_3 = 1, \;\; p = \gamma \gamma'

ただし, \gamma は準素。

三次剰余の相互法則より,

 \displaystyle \left(\frac{2}{\;\ \gamma \;}\right)_3 = \left(\frac{\gamma}{\; 2 \;}\right)_3

よって, \displaystyle \left(\frac{\gamma}{\; 2 \;}\right)_3 = 1 を考えれば良いが,定義より,

 \displaystyle Y^3 \equiv \gamma \pmod 2

が解を持つ条件を考えればよい。

 \mod 2 においては, Y \equiv 0, \; 1, \; \omega, \; 1 + \omega \pmod 2 を考えれば良いが,それぞれ三乗すると,

 \begin{eqnarray} 0^3 &\equiv& 0 \pmod 2 \\ 1^3 &\equiv& 1 \pmod 2 \\ \omega^3 &\equiv& 1 \pmod 2 \\ (1+\omega)^3 &\equiv& 1 \pmod 2 \end{eqnarray}

となり,

 \displaystyle \gamma \equiv 0, 1 \pmod 2

のとき,解を持つことが分かる。

ただし, \gamma は素数より, \displaystyle \gamma \equiv 0 \pmod 2 は除外。

したがって,

 \displaystyle \gamma \equiv 1 \pmod 2

また, \gamma は準素より, \displaystyle \gamma \equiv 2 \pmod 3 である。したがって,中国剰余定理より,

 \displaystyle \gamma \equiv 5 \pmod 6

が条件であることが分かった。

《結論》

 \displaystyle X^3 \equiv 2 \pmod p \;\;  \Longleftrightarrow \;\; \gamma \equiv 5 \pmod 6, \;\; p = \gamma \gamma', \;\; \gamma は \mathbb{Z}[\omega] 上の素数で準素

具体例

 X^3 - 2 が完全分解する例として, p = 31 を考える。

 31 = 5^2 - 5\cdot 6 + 6^2 = (5 + 6\omega)(5 + 6\omega^2)

ここで, \gamma = 5+6\omega とすると, N(\gamma) = 31 より, 31 は有理素数であるから  \gamma は素数である。また, \gamma \equiv 2 \pmod 3 より準素でもある。

また, \mod 6 で考えると,

 \gamma = 5+6\omega \equiv 5 \pmod 6

より,条件に合致。


一方で, X^3 - 2 が完全分解しない例として, p = 7 も考える。

 7 = 2^2 + 2\cdot 1 + 1^2 = (2 - \omega)(2 - \omega^2)

ここで, \gamma = 2-\omega とすると, N(\gamma) = 7 より, 7 は有理素数であるから  \gamma は素数である。しかし, \gamma \not\equiv 2 \pmod 3 より準素ではない。

 \begin{eqnarray}-\omega \gamma &=& -\omega(2-\omega) \\ &=& \omega^2-2\omega \\ &=& (-\omega-1) -2\omega \\ &=& -1 -3 \omega \end{eqnarray}

ここで, \gamma_0 = -\omega \gamma とすると, \gamma_0 \equiv 2 \pmod 3 より準素である。


さて, \mod 6 で考えると,

 \gamma_0 \equiv 5+3\omega \not\equiv 5 \pmod 6

より,条件に合致しない。


たしかに,成り立っていることを確認した。