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tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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二次体の整数環はややこしい

整数論の話を読んでいてややこしいなと思った話を。

二次体という対象があります。これは有理数体  \mathbb{Q} \sqrt{m} を添加した体のことです。 m は整数  \mathbb{Z} の元で,平方数ではありません。記号ではこう書きます。

 \mathbb{Q}(\sqrt{m})

この集合は, 1 \sqrt{m} を基底としたベクトル空間を成すのです。つまりこういうこと。

 \mathbb{Q}(\sqrt{m}) = \{a+b\sqrt{m} \mid a, b\in \mathbb{Q}\}

このベクトル空間の次数が  2 なので,二次体と呼ばれる訳ですね。


さて,この二次体には「整数的なもの」を定義することができて,それを二次体の整数環といいます。

これも,二次体と似たような表記で

 \mathbb{Z}\left[\sqrt{m}\right]
のように定義できます。


たとえば, m=-1 のときを例に挙げましょう。二次体は  \sqrt{-1} を添加した体ですから, \mathbb{Q}(i) です。集合を具体的に表現すると,

 \mathbb{Q}(i) = \{a+bi \mid a, b\in \mathbb{Q}\}

これをガウスの数体と呼びます。これは結局,複素数平面上の有理点を集めた集合で構成する体になります。

ガウスの数体の整数環は, \mathbb{Z}[i] のように定義できて,これは,複素数平面上の格子点全体に相当します。これは  1, i を基本単位*1とした次の集合で表されます。

 \mathbb{Z}[i] = \{a+bi \mid a, b\in \mathbb{Z} \}

たしかにこの集合なら,ガウスの数体の「整数」に相当するといっても,納得できるでしょう。これをガウス整数と呼びます。


さて,問題はここからです。アイゼンシュタインの数体を考えます。

アイゼンシュタインの数体は,有理数体に  \sqrt{-3} を添加した体です。すなわち, \mathbb{Q}(\sqrt{-3}) です。集合を具体的に表現すると,ガウスの数体と同様に,

 \mathbb{Q}(\sqrt{-3}) = \{a+b\sqrt{-3} \mid a, b\in \mathbb{Q}\}
と書けます。

では,この二次体の整数環を考えましょう。直感的には,このようになると思うかもしれません。

 \mathbb{Z}[\sqrt{-3}] = \{a+b\sqrt{-3} \mid a, b\in \mathbb{Z}\}

私は最初はこうだと思っていました。でも,残念ながら間違いです。

正解は,こうです。

 \mathbb{Z}[\omega] = \{a+b\omega \mid a, b\in \mathbb{Z}\}

このように作られる整数環をアイゼンシュタイン整数といいます。

なんだ  \omega って!と思ったかもしれません。 \omega は以下の式で定義されます。

 \displaystyle \omega = \frac{1+\sqrt{-3}}{2}

いわゆる,1 の原始3乗根ってやつですね。(←間違えました。。。)


なんでいきなり状況が変わったのだ。どうしてこんな式になるのだと憤慨される人もいるかもしれません(大げさ?)。


ちなみに,整数環のルールによると, m の条件によって「ガウス整数型」になるものと「アイゼンシュタイン整数型」なるものの2通りに分かれます。

 m \equiv 1 \pmod 4 のときの整数環は,

 \displaystyle \mathbb{Z}\left[\frac{1+\sqrt{m}}{2}\right]

となって, m \equiv 2, 3 \pmod 4 のときの整数環は,

 \displaystyle \mathbb{Z}\left[\sqrt{m}\right]

となるのだそうです。


たしかに,ガウス整数に当てはめると, m = -1 \equiv 3 \pmod 4 で下の条件になりますし,アイゼンシュタイン整数の場合も, m = -3 \equiv 1 \pmod 4 となって上の条件に当てはまっています。



とはいえ,

「だれだこんな ややこしい 定義を採用したのは!」

「担当者出てこい!!!」

とますます怒りたくなってきますね。



ひとしきり怒ったところで,ここで種明かし。

そもそもこれは,整数環の定義じゃなかったのです。


「はて」と思って考えてみると,実はまだ整数環の定義を話していなかったことに気づきます。上の結論は,整数環の定義に基づいて自然に導かれる定理だったのです。


じゃあ整数環の定義はいったい何なのだろうか。

と気になってきますよね。


期待を煽っておいて次回に続きます。笑

まぁ,こちらのブログはただの下書きなので。(まとまったら本編のブログにも書いていくかも。。。)

参考文献

素数と2次体の整数論 (数学のかんどころ 15)

素数と2次体の整数論 (数学のかんどころ 15)

  • 作者: 青木昇,飯高茂,中村滋,岡部恒治,桑田孝泰
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 2012/12/21
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*1:上と似ていますが,係数  a, b\in \mathbb{Z} が「体」ではないので,ベクトル空間ではないことに注意。