この記事でザリスキー接空間を扱ったのだが、そのときは余接空間 の双対空間として定義した。もう少し直接的に接空間をできるらしいと聞いたので、考えてみたいと思う。
環準同型
から始めたいと思う。
として、点 における局所環 を考えると、これは で正則な有理関数全体のなす局所環である。 の任意の元 はテイラー展開すると
と表せる。ただし、 は点 で正則な関数である。
したがって、この係数 を用いて を割り当てる写像を考える。
すると、この は環準同型写像である。特に加法群についての準同型写像。
ここで、上記の写像と を合成した写像を とおくと
ということになるが、この に着目する。これは から への写像であり、①線形性と②ライプニッツ則を満たす。したがって、これは微分作用素である。
また、 に対して なので、これは
だと思って良さそうだ。
微分作用素 が生成する1次元ベクトル空間をザリスキー接空間 と定義する。
ところで、これは余接空間 の双対空間 とも一致する。
ここで、 は の極大イデアルであるが、上記の写像 を に制限したものを改めて とすると
ということになる。これに対して、 なので、線形写像 に対する準同型定理より
なる準同型写像が一意的に存在する。これは の元である。基底の行き先が分かったので、あとはその定数倍を送れば良さそう。(たぶん)
これの幾何的な意味を考えたいと思う。
接空間 は微分作用素 (の定数倍)であって、余接空間は「点 で互いに接する多項式の同値類」なのであった。ということは、多項式の同値類 に を当てると、点 における微分係数 が取り出せるわけだ。
すなわち、これは接空間 と余接空間 の内積をとっていることに他ならない: