2つのガロア表現 が与えられたとき,その同値性の判定は簡単ではない.ところが,それぞれのガロア表現の半単純化 に関して言えば, のすべての不分岐な素点 に対するフロベニウス元()のトレースの値 の一致によって同値性を判定できる.面白いことに,この証明には「Chebotarevの密度定理」を使うことになる.
Chebotarevの密度定理を使うポイントは,
まず準同型定理により,ガロア表現 は を で割った群 を経由するから, に対する表現だけを観察すればいい.
という集合を考えて, であることが【示すべきこと】である.
このとき, は【閉】集合であることがわかる.理由は参考文献で.
一方,次の集合を考える:
つまり は不分岐な素点 についてのフロベニウス に一致するような の元の集合である.
これは,【仮定】より に含まれる.なぜなら,【仮定】により,少なくともフロベニウスについてだけいえば, のトレースが一致することがわかっているから.よって,.
もっというと,.
ここで,【Chebotarevの密度定理】より, は の中に【稠密】に入っている(このPDFの系1.4より).
すなわち,稠密集合の定義より, の閉包(定義: を含むような最小の閉集合)は に一致する.
したがって,閉集合 は を含むので,明らかに に一致しなければならない.よって, がいえるというわけだ.
よって,すべての について と のトレースが一致することがいえて,【結論】が示された.証明おしまい.
参考文献:
今こちらを勉強しています.該当箇所は「命題 2-2-6.」です.「Chebotarevの密度定理」の使いどころはずっと気になっていたので,理解できてすごくうれしくてこの記事を書きました.
http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ochiai/ss2009proceeding/ss2009yamauchi.2010-2-13.pdf
また前提知識として,こちらも読んでおくといいと思います.
http://www.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ochiai/ss2009proceeding/ss2009preparation.pdf