「数学語」と私が勝手に呼んでいるものがある.
一般に用いられる日本語ではあるものの,数学の議論の中でしか使わない用法をする言葉のことである.ある意味テクニカルタームなのだけれど,独学だとなかなか気づきにくい.
その中の一つとして「~によって特徴付けられる」というものがある.
「AはBによって特徴付けられる」というとき,Aにはある数学的な対象が,BにはAだけが満たす性質が入る.Aは既に何かしらの方法で定義されていて,BはAに同値な命題になっているような状況である.
ちょっと分かりにくいから例を挙げる.
を環とし, を -加群とする.このとき以下の (1), (2) は同値.
(1) はネーター加群である.
(2) の任意の部分加群が有限生成.
このようなとき
ネーター加群は「任意の部分加群が有限生成」という性質によって特徴付けられる
というのである.