解きたい問題は,素数 に対して, で が完全分解するような の条件。三次剰余の相互法則を使って解く。
以下の記事に置ける TSKi さんのコメントを受けて,一気に理解が深まったので,忘れないうちにメモ。
三次剰余の相互法則
とする。
の整数環 上の準素な元 に対して,以下が成り立つ。
平方剰余の相互法則よりきれいにかけるんですね。
ポイントは, 上ではなく, 上で考えている点。だから,平方剰余よりややこしくなる。
準素とは:
における素数 が, のとき,すなわち, を満たすとき, を準素という。
与えられた素数 に対して,同伴な数は以下の6つあるが,その中で準素な数は1つだけであることが示せる。
イデアルを使えば,同伴な数をそのままひっくるめて扱えるから,この辺はイデアルで考えた方が簡単になりそう。
解法
である素数 に対して, で が完全分解する条件を考える。
ただし, は準素。
三次剰余の相互法則より,
よって, を考えれば良いが,定義より,
が解を持つ条件を考えればよい。
においては, を考えれば良いが,それぞれ三乗すると,
となり,
のとき,解を持つことが分かる。
ただし, は素数より, は除外。
したがって,
また, は準素より, である。したがって,中国剰余定理より,
が条件であることが分かった。
《結論》
具体例
が完全分解する例として, を考える。
ここで, とすると, より, は有理素数であるから は素数である。また, より準素でもある。
また, で考えると,
より,条件に合致。
一方で, が完全分解しない例として, も考える。
ここで, とすると, より, は有理素数であるから は素数である。しかし, より準素ではない。
ここで, とすると, より準素である。
さて, で考えると,
より,条件に合致しない。
たしかに,成り立っていることを確認した。