tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

記事一覧はこちらです。このブログの趣旨はこちら

メインブログである「tsujimotterのノートブログ」はこちら

「K上の」代数曲線

 I \subset \overline{K}[X] を多項式環のイデアルとする。多項式環なので  I は多項式のイメージ。ちなみに一変数っぽく書いているけど、 \overline{K}[X] := \overline{K}[X_1, \ldots , X_n ] である。

ここで、多項式(イデアル)の  I 零点集合

 V_I = \{ P\in \mathbb{A}^n \mid f(P) = 0, \forall f \in I \}

を考える。多項式の零点を集めた集合のことで、ようするに楕円曲線  Y^2 - X^3 - aX - b = 0 とか円  Y^2 + X^2 - 1 = 0 の解の集合みたいなものを考えたいということだ。

イデアルと零点の立場を逆転させてみよう。 V を適当な代数的集合とする。 V を零点にもつような多項式の集合を考える。

 I(V) = \{ f\in \overline{K}[X] \mid f(P) = 0, \forall P \in V \}

これは  \overline{K}[X] のイデアルとなる。ようするに零点集合として  V を含むような多項式全部のせ。


さて、ここが一番重要だが  I(V) K[X] の元によって生成されるとき、 V K 上定義されるという。このとき  V/K のように表す。「 K 上定義される」というのはここからきていたのだ。

そもそも「生成される」とあるが、 \overline{K}[X] は有限個の基底から生成されるのか?イエスだ。ヒルベルトがいっている。ヒルベルトの基底定理といって、 \overline{K}[X] が有限生成であることが保証されている。これらが全部  K 上の多項式になっていれば  K 上定義されるということだ。

円は  V : X^2 + Y^2 = 1 を満たす  \overline{K} 上の代数的集合だ。 f(X, Y) = X^2 + Y^2 - 1 とすると、 f(X, Y) \in \overline{K}[X] であり、V (f) = f\, \overline{K}[X, Y] の零点集合である。

ここで、 f'(X, Y) = 2X^2 + 2Y^2 - 2 としたとき、 (f') V を零点に持つ多項式イデアルである。よって  I(V) の元。

また、 f''(X, Y) = \sqrt[3]{2} X (X^2 + Y^2 - 1) みたいなやばそうなやつに対しても、 (f'') V を零点に持つ多項式イデアルだ。これも  I(V) の元。しかし明らかに  K[X, Y] の元ではない。

一方で、 f''(X, Y) = \sqrt[3]{2} X \, f(X, Y) ではあり、 \sqrt[3]{2} X \in \overline{K} [X, Y] である。したがって、 f'' f の生成するイデアルの中に入っちゃっているわけだ。

よって、証明はしていないが、ここまで見た例の中でいうと、 I(V) の生成元  f K 上の多項式になっており、 V K 上定義されていそうである。

こんな感じで考えれば良いと思う。


たとえば、楕円曲線を生成する多項式  f(X, Y) = Y^2 - X^3 - aX - b のときも、 f の係数が何になっているか考えれば十分と思う。具体的には  a, b \in K であるような係数体が、楕円曲線の定義体になっていると考えればよさそう。


詳細は [AEC, I. Algebraic Varieties, p.2] あたりを参照。

AECのメモ

不変微分の定義

  • [AEC III.5, The Invariant Differential, p.75]
  • 不変微分はtranslation-by- Q-mapに対して不変であるの証明 [AEC III.5.1, p.76]

C上の楕円曲線と微分形式の線積分

  • [AEC, VI.1, Elliptic Integrals, p.158]

K上定義された代数的集合

  • defined over [AEC, I.1. Affine Variety, p.2]

代数多様体の同型射

  • rational map [AEC, I.3 Maps Between Varieties, p.11]
    • defined over  K
  • morphism [AEC, I.3 Maps Between Varieties, p.12]
    • rational mapかついくつかの条件
  • isomorphic [AEC, I.3 Maps Between Varieties, p.13]
    • morphism  \phi : V_1 \to V_2, \; \psi : V_2 \to V_1 が存在して、 \psi \circ \phi, \; \phi \circ \psi がidentity mapであるとき、 V_1/K, V_2/K K 上同型であるという(単にrational mapだけではだめ)

分数の合同式についての疑問

クンマーの合同式でよく出てくる分数の合同式.あの合同式はうまく定義されているんだろうか.

 \cfrac{p}{q}, \cfrac{r}{s} をそれぞれ既約分数として、 q, s m と素であるとする.

このとき「分数の合同式」

 \cfrac{p}{q} \equiv \cfrac{r}{s} \pmod{m}

 \cfrac{p}{q} - \cfrac{r}{s}

を計算し,既約分数で表示したときの分子が  m で割り切れること,と定義する.


気になるのは上の合同式と,分数を  \bmod{m} に埋め込んだ

 \cfrac{p}{q} \mapsto p q^{-1} \pmod{m}

ときの「整数の合同式」

 p q^{-1} \equiv r s^{-1} \pmod{m}

が同値であるかということだ. q^{-1}, s^{-1} \bmod{m} における  p, q の逆元である.

例:

具体例で考えてみる.

 \bmod{7} とし, \cfrac{8}{3}, \cfrac{3}{2} とする.それぞれ既約分数である.

「分数の合同式」は以下のように成立する:

 \cfrac{8}{3} - \cfrac{3}{2} = \cfrac{16 - 9}{6} = \cfrac{7}{6}

よって,分子が  7 で割り切れるので

 \cfrac{8}{3} \equiv \cfrac{3}{2} \pmod{7}


一方で, \bmod{7} での  3, 2 の逆元はそれぞれ  5, 4 である.よって

 8 \cdot 3^{-1} - 3 \cdot 2^{-1} \equiv 8 \cdot 5 - 3 \cdot 4 \equiv 0 \pmod{7}

として,たしかに普通の合同式の方も成立している.


うーん,今のところうまくいっている気がする.

特定の虚数乗法を持つような楕円曲線を作る方法

一つ前の記事と紛らわしいが、虚2次体  K の整数環  \mathcal{O}_K が与えられたとき、自己同型環が

 \text{End}(E) \simeq \mathcal{O}_K

となるような楕円曲線  E を作ることができる。参考は、楕円曲線論概説(上)のp.121を読むこと。

 \newcommand{\a}{\mathfrak{a}} \a を 0 でない  K の分数イデアルとする。埋め込み  \a \subset K \subset \mathbb{C} によって、 \a \mathbb{C} の格子とみなす。

そもそも \mathbb{C} の格子  \Lambda \subset \mathbb{C} の定義は、 \mathbb{C} の離散部分群で、 \mathbb{C} \mathbb{R}-基底を持つものであった。

虚2次体に対しては  \a が階数 2 の  \mathbb{Z} 加群であって

 \a = \mathbb{Z}\omega_1 + \mathbb{Z}\omega_2

とかける。また、 \a \not\subset \mathbb{R} であり、格子の条件を満たす。

よって、その自己準同型環が

 \begin{align} \text{End}(E_\a) &\simeq \{ \alpha \in \mathbb{C} \mid \alpha \a \subset \a \} \\
&= \{ \alpha \in K \mid \alpha \a \subset \a \} \\
&= \mathcal{O}_K \end{align}

1行目から2行目の変形は、 \a \subset K であることからわかる( K 以外の元をかけると  K を飛び出してしまう)。2行目から3行目の変形は、 \a は分数イデアルということからわかる(分数イデアルは、整イデアルに  K の元をかけたものである。よって、整数環の元をかけても元の集合の中に戻ってくる)。

よって、 \text{End}(E_\a) \simeq \mathcal{O}_K であるような楕円曲線  E_\a を得ることができた。


構成から分かるように、同じ虚数乗法を持つ楕円曲線は(同型のことを考えなければ)分数イデアルの数だけ作ることができる。

「趣味で数学をすること」の壁

「趣味で数学をすること」については、2つの壁があると思っています。

一つの壁は「まわりに話のできる仲間がいない」ということです。学んだことを誰かに語りかけたい気持ちは、誰しもどこかに持っているはずですが、一方で、実生活の中で自身の学んだ数学について、話を聞いてもらえる機会はそう多くない。
これについては、一度あきらめてネット上で話せる人を探すことで、ある程度は解決できると思っています。

もう一方の壁は、数学を専門にしている人から「あいつは真面目に数学に取り組んでいない」といわれてしまうということですね。直接言われなくても、なんとなくそういう視線を感じて萎縮してしまうことがあります。個人的には、むしろこっちの方が問題としては根深いなと感じていて、どうにか解決したい点です。

後者の壁についての解決方法はまだ見出せていないのですが、今私が実践している方法の一つはこれです。「気にしない」ということですね。