tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

記事一覧はこちらです。このブログの趣旨はこちら

メインブログである「tsujimotterのノートブログ」はこちら

シュレディンガーと猫と私

シュレディンガーの猫

シュレディンガー「ふっはっはっは。お前がこの箱を開けた瞬間に、箱の中の猫が生きているか死んでいるかが確……」

箱の中の猫「にゃーん」

シュレディンガーの元気な猫

シュレディンガー「ふふふ。お前がこの箱を開けた瞬間に、箱の中の猫が生きているか死んでいるかが確定する……」

箱「(ガサガサッ、ガサガサッ)」

私「これ、動いてません?」

俺の話を聞け

シュレディンガー「ふっはっはっは。お前がこの箱を開け……」

箱を開けようとする私「よいしょっと」

シュレディンガー「ちょ!!最後まで言わせて!!

理解力

シュレディンガー「ここに、箱があります。」

私「はい。それでは開けましょうか。」

いくつ知ってるかな?

シュレディンガー「この箱を開けた瞬間にロケットで飛んで行った双子の片割れが戻って来てそのエネルギーを使った熱機関が熱効率100パーセントでブラックホールの量子状態が消失する」

私「いろいろ混ざってる混ざってる」

自分メモ:収穫逓減

まず、「収穫逓減」って「しゅうかくていげん」って読むらしいですよ。
読み方すら知りませんでした。

経済学の言葉で、意味は「収穫を大きくしようと規模を拡大しようとしても、収穫の増加量が予想より小さくなってしまう」という現象のことらしい*1


わかりやすかったのが農地のたとえ。

何かの農作物をつくっていて、収穫量をあげたいと思った。
そこで、農地を倍に増やせば、収穫量も倍になるだろうと考える。
ところが、収穫量は倍にはならない。

なぜなら、増やした分の農地は、元々持っていた農地と比べて質が劣るからだ。
元々の農地は、最も質の高い場所を選んでいるはずなので、当然ほかの場所で探そうとすると質が下がってしまうのである。


同じように「今までこの部門で儲かっていたから、この部門に資金を集中させてもっと儲けよう」と考えて資金を投入しても、思ったほど儲けが増えないということが、実際現象としてあるらしい。


逆に「収獲逓増(しゅうかくていぞう)」という言葉もあるらしい。

つまり、規模を大きくすればするほど、収穫量が上がるというもの。そんなに変な現象ではない。
たとえば、生産性を上げるために規模を大きくしようとしたら、テクノロジー的な工夫が見つかってむしろ生産性が激増したりする、みたいな状況。

もしかしたら、先行者利益みたいなのもあるかもしれないですね。
市場にいち早く参入して、市場のシェアを十分に獲得すれば、自然に利益が集まってくる的な。

*1:「らしい」というのは正確な定義を調べていないから

Ray class field

 \mathbb{Q} 上の Ray class field(円分体論)

 \mathbb{Q} \bmod{n} の Ray class field は,

 \mathbb{Q}(\mu_n)

となる.ただし, \mu_n n-等分点全体の集合.

虚2次体  K 上の Ray class field(虚数乗法論)

 K を虚2次体とし, E/\mathbb{Q} \mathcal{O}_K と同型な自己準同型環を持つ(虚数乗法を持つ)楕円曲線とする.このとき, K \bmod{\mathfrak{c}} における Ray class field は,

 K(j(E), h(E[\mathfrak{c}]))

となる.ただし, E[\mathfrak{c}]  E \mathfrak{c}-等分点全体の集合で, j(E) E の j-invariant, h(P) は Weber 関数.

 H = K(j(E)) とし  E: y^2 = x^3 + Ax + B, \; A, B\in H としたとき, E/H に対する Weber 関数  h : E \to E/\mathrm{Aut}(E) \simeq \mathbb{P}^1 は以下で与えられる:

 h( (x, y) ) = \begin{cases} x & AB \neq 0 \\ x^2 & B = 0 \\ x^3 & A = 0 \end{cases}

朝岩澤理論11:岩澤理論とその展望(上)

tsujimotter-sub.hatenablog.com

の第11週目。


ポイントをまとめていく。あくまで自分のメモ用です。

第11週目(2017/4/1 〜 2017/4/7)

4/1:Euler系を用いた方法による証明(3.3.3)

  • Stickelbergerの定理
    • Stickelberger元をアーベル体の分数イデアルに作用させると単項イデアルになる。つまり、イデアル類群を零化する
    • この逆極限をとると、 x\in (X)_{\omega \psi^{-1}} L_p(\psi)\Lambda_\psi \cap \Lambda_{\psi} で消される

f:id:tsujimotter:20170403095617j:plain:w400

  • 「重複度1予想」を仮定すると  (-) 版岩澤主予想が導ける
    • 以下、雑に照明の流れを追う
    • Ferrero-Washintonの定理( \mu = 0)から  X_{\omega \psi^{-1}} \Lambda_{\psi} (p) を割らない高さ1の素イデアルの積でかける
    • 構造定理により、線形写像  X_{\omega \psi^{-1}} \to \Lambda_{\psi}/\mathfrak{p} は有限な余核を持つ
    • Stickelbergerの定理により、p進L函数は \Lambda_{\psi}/\mathfrak{p} を零化する
    •  (L_p(\psi)) \subset {\rm char}X_{\omega \psi^{-1}} を得る
  • 「Greenberg予想」を仮定すると  (+) 版岩澤主予想が導ける
    • Greenberg予想( X は有限アーベル群)を仮定すると、 Xは擬零加群で有限アーベル群。
    • あとは4項完全列よりわかる
  • Stickelbergerすごいじゃないか!!!見直したぞ!!!

4/2:総実代数体のアーベル拡大の場合(3.4.1)

  • 前章は \mathbb{Q}上の岩澤主予想を考えたが、ここでは

総実代数体上の \zp拡大におけるp進L函数の構成と岩澤主予想を定式化した。

  • オイラー因子が p の上の素イデアル分かかっている点を除けばほぼ同じ
  • 指標での拡大と \zp拡大が共通部分を持たないことも条件

岩澤主予想を考えるためには指標をひねった部分を含んだ拡大を考える必要があって、それが定式化に影響している。指標をかけて考える必要

4/3:続きとCM体のアーベル拡大の場合(3.4.2)

  • 総実代数体の問題について:
    • Ferrero-Washinton の定理の類似は予想されている(p進L関数 \mu = 0)が未解決
    • Leopoldt予想は未解決なので、4項完全列はつかえない
    • IMCは「ヒルベルトモジュラー形式」を用いてMazur-Wilesの議論が使える。一方で、Euler系を用いた方法は知られていない(円単数に相当する単数が見つかっていない)
    • pの外不分岐なアーベル拡大の合成を  \tilde{F} として円分 \zp拡大の議論を  \tilde{F}/F についての議論に展開できる( F=\mathbb{Q} のときは円分 \zp拡大なので、拡張になっている)
      • p進L函数は \zp[\psi][[{\rm Gal}(\tilde{F}/F)]] の中に考えることができて、この集合から  \zp[\psi][[\Gamma_{\cyc, F}]] への全射がある
      •  \left(X_{\omega\psi^{-1}, \infty}^{\cyc}\right)_{\omega\psi^{-1}} の類似もある
  • CM体の場合
    • CM体は大きな問題がある
    • 総実でない Fの場合には、 G_Fの有限指標に対して、L函数の負の整数点の値が0になってしまう。
      • Gamma Factorの零点・極からわかる
    • したがって、円分 \zp拡大における非零なp進L函数が存在しない(やばい)
    • もし FがCM体を含むならば、円分 \zp拡大ではなく F \zp拡大すべての合成 \tilde{F}_\inftyにおいて、ある程度自然な岩澤理論を考えることも可能

4/4:

  • あとでかく

4/5:

  • あとでかく

4/6,4/7:(お休み)

  • 仕事で追い詰められていたのと,朝起きれなかったのでお休みしてしまいました。。。

雑感

  • あとで書く

朝岩澤理論10:岩澤理論とその展望(上)

tsujimotter-sub.hatenablog.com

の第10週目。


ポイントをまとめていく。あくまで自分のメモ用です。

第10週目(2017/3/24 〜 2017/3/31)

3/24:WilesによるIMCの証明 (Step I)

  • 基本的な方針はRibetの定理の議論の一般化
  • ところどころにそのままではうまくいかない箇所が存在して、それを切り抜ける方法が鮮やかで面白い。Wilesさんすごい!
  • Eisenstein級数のp進族
  •  \mathbb{I} = \Lambda_{\cyc, \psi} 進モジュラー形式  \mathbb{G}_{\psi} を考える.
    •  A_0(\mathbb{G}_{\psi}) はp進L函数
    •  \kappa^{k-2}(\mathbb{G}_{\psi}) G^{(p)}_{k, \psi, \omega^{2-k}} が与えられる(これがp進Eisenstein級数?)
    •  G^(p)_{k, \psi, \omega^{2-k}} G_{k, \psi \omega^{2-k}} のq展開によっても与えられる。このような構成はp-安定化と呼ぶらしい。
    • p安定化では、p以外のすべてのHecke作用その固有多項式は変わらない
  • 方針
    • 解析的類数公式があるので, A_0(\mathbb{G}_{\psi}) \leq {\rm Tw}_{\kappa_{\cyc}}\left(\frac{\iota(L_p(\psi))}{2}\right) \in \Lambda_{\cyc, \psi} を含む高さ1の素イデアル  \mathfrak{J} \subset \Lambda_{\cyc, \psi} に対して,p進L函数の \mathfrak{J}に対する  \ord が, {\rm char} 以下であることを示せばよい(p進L函数の作るイデアルが特性イデアルに含まれる(Ribetと同じ状況))
    •  \mu不変量の消滅定理より,上記の  \mathfrak{J} はpの上にない素イデアル( \varpi成分はない)ので、 \Lambda_{\cyc,\psi}/\mathfrak{J}の標数は0としてよい
    •  m をp進L函数を  \mathfrak{J} が割り切る回数としておく
(StepI)

 \Lambda_{\cyc, \psi} 上の有限平坦な局所整数  \mathbb{I},Hecke固有カスプ形式  \mathbb{F} \mathfrak{J}の上にある  \mathfrak{I} の素イデアル  \tilde{\mathfrak{J}} が存在して,  \mathbb{F} \equiv \mathbb{G}_{\psi} \pmod{\tilde{\mathfrak{J}}^m}

  • Ribetの議論(Step1)を追って実行するが、ところどころやり方が異なる
    • Ribetでは類数の漸近評価を駆使して「定数項が単数となるモジュラー形式」を見つけたが、一般のNeben指標に対して、 \mathbb{I} 進モジュラー形式の空間の次元は導手に応じて大きくなってしまう。現実的に不可能
    • Wilesはこの議論を避けて「 A_0(\mathbb{G}) A_0(\mathbb{G}) と共通の零点を持たないモジュラー形式」をみつける議論で切り抜けた
    • Ribetではモジュラー形式の空間を「カスプ形式の空間」と「Eisenstein級数の空間」に分けたが、今回の場合は後者の階数が高いためそのままでは難しい
    • WilesはHecke作用素の作用も取り入れてうまく空間の階数の大きさを処理した。これによって正規化された \mathbb{I} 進カスプ形式  \mathbb{F} を得る(Step I終わり)

3/25:WilesによるIMCの証明 (Step II)〜(StepIV)(完成!)

あとで書く

3/26:Euler系の方法による証明(3.3.3)

  • 今日から,Euler系を使ったIMCの証明に入る。
  • Thaine のアイデアを経て Kolyvagin によって発見された
  • 岩澤基本完全列*1という大事な完全列について  \newcommand{\zp}{\mathbb{Z}_{p}}
    •  \displaystyle 0 \rightarrow \varprojlim_n (\mathfrak{r}_{K_n^{\cyc}})^\times \otimes_{\mathbb{Z}} \zp \hookrightarrow \varprojlim_{n} U_1 ( \mathfrak{r}_{K_n^{\cyc}} \otimes_{\mathbb{Z}} \zp) \rightarrow \mathfrak{X}_{K_\infty^{\cyc}} \twoheadrightarrow X_{K_\infty^{\cyc}} \rightarrow 0
    • 類体論により n 次について完全列が得られる。左の単射はLeopoldt予想により( K \mathbb{Q} または虚二次体の有限次アーベル拡大の場合正しい)
    • 4項が副有限群なのでMittag-Leffler条件が満たされ逆極限をとっても完全列になるらしい
  • (単数のなす)Euler系  \{ z_{n,r} \}_{(n, r) \in \mathbb{Z}_{\geq 1} \times \mathfrak{R}_{\psi}} について:
    • ノルム  {\rm Nr}_{K_{n+1}^{\cyc}(\mu_{r}) / K_{n}^{\cyc}(\mu_{r}) } をとると  z_{n+1, r} z_{n, r} となり,
    • ノルム  {\rm Nr}_{K_{n}^{\cyc}(\mu_{rl}) / K_{n}^{\cyc}(\mu_{r}) } をとると  z_{n, rl} ({\rm Frob}_l^{-1} - 1)z_{n, r} となる( l-オイラー因子がかかる)
    • ような系のことをEuler系という。
  • このような都合のよいものが存在すれば、IMCが証明できるらしい(明日示す)。存在することは全然自明ではないが、実はこのあいだのノルム系の例をちょっと変形するとEuler系が構成できるのだ!(面倒なので書かない)
  • Euler系は上の完全系列のたぶん一番左側の元になるので、Coleman写像でp進L函数を作ると、完全列の中でIMCが示せるのかなと勝手に考えている

3/27:Euler系の方法による証明(3.3.3)

  • Rubin と Greither によって示された定理3.80を仮定すると「(+) 版岩澤主予想」が導けることを確認した.
  • かなり複雑で込み入っていたので,図でまとめてみた

f:id:tsujimotter:20170327142252j:plain:w500

3/28:Euler系の方法による証明(3.3.3)(つづき)

  • 定理3.80の証明のための道具を準備した
  • セッティングについて:
    •  r \in \mathfrak{R}_\psi の定義が疑問だったのだが,要するに  r = l_1 \cdots l_s と分解したときに「 l_i はすべて指数が1」で「 Np と互いに素な奇素数」を考えたいのだということがわかった.あとで,Kolyvagin作用素の定義で, r を素因数分解する
    • たしか,イントロの章で「Euler系では  \zeta_{p^{m+1}l_1 \cdots l_s} のような元を考えたい」みたいなことを言っていたが,こういうことだったのか.
    •  (CD_m) という仮定をおく「 r の勝手な素因数  l に対して, \mathbb{Q} の素イデアル  (l) は,拡大  K_m^{\cyc}(\mu_p)/\mathbb{Q} で完全分解する」
      •  \mathbb{Q} \subset  \mathbb{Q}(\mu_{p^{m+1}}) \subset K_{m}^{\cyc}(\mu_p) より(円分拡大の定義を思い出そう)  r が仮定を満たすなら,円分体  \mathbb{Q}(\mu_{p^{m+1}})/\mathbb{Q} (l) が完全分解するので,円分体の類体論より  l \equiv 1 \pmod{p^{m+1}} が成り立つ
  • Kolyvagin作用素とKolyvagin積分 {\rm res}\; \colon \; (K_n^{\cyc})^\times \big/ ( (K_n^{\cyc})^\times)^{p^{m+1}} \xrightarrow{{\sim}} (K_n^{\cyc}(\mu_r) )^\times \big/ (( (K_n^{\cyc}(\mu_r) )^\times)^{p^{m+1}})^{{\rm Gal}(K_n^{\cyc}(\mu_r)/K_n^{\cyc})} という同型がある( p>2 K_n^{\cyc} が総実代数体なので  \zeta_p \not\in K_n^{\cyc} となる.Inf-Res完全系列をみれば制限写像が同型になる)
    • Kolyvagin作用素  \mathbb{D}_r はガロア群を  r = l_1 \cdots l_s について分解したものを,変な感じで組み合わせて定義する.
      • 帰納法を使って上記の同型の右辺側の元であることがわかる(ガロア群によって固定される)
    • Kolyvagin積分は上記の元を同型の左側に引き戻す作用(というかその作用で得られた元)
      • 「積分」という感じはあまりしない

3/29:Euler系の方法による証明(3.3.3)(つづき)

  • 定理3.80の証明のための道具の準備段階だが,分からないゾーンに来てしまったかもしれない
  • Prop. 3.87(Euler系のノルム性質とKolyvagin作用素の性質から), Prop. 3.88(Chebotarevの密度定理から) が重要な役割を果たすらしい

3/30:Euler系の方法による証明(3.3.3)(つづき)

  • 岩澤加群の構造定理などを使って,Rubinの不等式を基本的な  \left(\prod_{i=1}^{s}g^{(i)} \right) \supset \left(p^a h\right) に帰着した
    • 左辺がイデアル類群  X_{K_{\infty}^{\cyc}} の特性イデアル(的なもの)
    • 右辺が Euler 系(大域的な単数群)の極限(p進L函数的なもの)の作る単項イデアル( p^a 倍)
  • この状況の下で,イデアル類群と大域的な単数群を  n 次の中間体の変動に関してコントロールする
    • それぞれのKer, Cokerを零化するイデアル  \mathcal{I}, \mathcal{J} を用意している?

3/31:Euler系を用いた方法による証明(3.3.3)

  • 今までの道具を使って Rubin の不等式  \left(\prod_{i=1}^{s} g^{(i)}\right) \supset \left(p^a h\right) を証明する流れをおった。ざっくり流れを説明
    • 第n次中間体での素イデアル  l の持ち上げ  \tilde{l} をガロア作用に配慮しつつ選ぶ。Chevotarev の密度定理により、このような持ち上げは無数に存在する
    • Euler系を使って,このような  l_i を数珠つなぎ的につなげていくと  g^{(1)}\cdots g^{(s)} p^a h を割り切ることを示せる
  • 長かったけど、これにて Euler系 を用いた方法による証明おわり。
  • 「ガロア作用に配慮した素イデアルの持ち上げ」を見つけるような複雑な箇所は「ガロア変形によるEuler系の理論」を導入することで気にしなくてよくなるらしい。これについては下巻8章で登場するらしい。

雑感

  • 前半はWilesによる「モジュラー的な手法を用いた岩澤主予想の証明」後半はRubinによる「Euler系を用いた岩澤主予想の証明」を追った。
    • (少し感想を書く)
  • これにて 141ページが終わりました。当初の目標では「3/31までに岩澤理論とその展望(上)の本文パート162ページを終わらせる」ということだったのですが、2月終了時点ごろに「やばい、終わらない」と気づきました。そのあたりから「ひとまず3月中に岩澤主予想の2つの手法(モジュラー・Euler系)を理解しよう」と目標を下方修正していました。岩澤理論の根幹は「岩澤類数公式」「p進L函数」「岩澤主予想」の3つなので、これらの3つについて主要な証明法を理解できれば、最初の3ヶ月の目標としては十分だと考えたからです。実際、この目標はなんとか3/31までに達成することができました。進捗の状況は以下の通り。

f:id:tsujimotter:20170413104326p:plain:w400

  • 近似曲線を見る限り、1日1.84ページとなっていますから、(当初の目標ほどではないものの)なかなかのハイペースでここまでこれたと思います。途中、難しいパートに入ったり(Euler系とか)気持ちが落ち込んで、ペースにムラが出てきていますが、なんとかやってこれて良かったです。
  • 残りの20ページに関しては、ほかの基礎体における岩澤理論と下巻への展望で構成されています。これも4月のできるだけ早い時期に完了したいと考えています。
  • あとで続きを書く

*1:と呼んでいるひとがいた

j-函数に関するあれこれメモ

山本先生の「数論入門2(岩波講座現代数学への入門)」に、僕が知りたかった「楕円モジュラー関数」と「虚二次体」の話が、この上なくわかりやすく書いてあったので、ここにご報告します。

岩波講座 現代数学への入門〈5〉(9-10)数論入門1・2

岩波講座 現代数学への入門〈5〉(9-10)数論入門1・2

類数1の虚二次体におけるj函数の値は整数

「ラマヌジャン定数がほとんど整数である」に関する「虚二次体  \mathbb{Q}(\sqrt{-d}) の類数が1なら  j(\tau) は整数( \tau = \frac{1+\sqrt{-d}}{2})」の話について。

端折って説明すると:

  • 判別式  -d が等しく,対等な二つの2次無理数  \alpha, \beta はj関数値  j(\alpha), j(\beta) が等しい
  • 任意の二次無理数  \alpha は,判別式が等しい対等な二次無理数  \tilde{\alpha} が基本領域上に存在する。
  • 対等  \alpha \sim \beta という同値関係で,判別式  -d の2次の無理数の集合  A(-d) を割ると  A(-d)/{\sim} となるが,このすべての類は基本領域上の数によって代表される。
  • 判別式  -d の無理数の類のj関数値  j(\alpha_1), \; j(\alpha_2), \; \cdots, \; j(\alpha_{h}) を根に持つ類多項式  P_{-d}(X) = \left(X -  j(\alpha_1) \right) \left(X -  j(\alpha_2) \right) \cdots \left(X -  j(\alpha_h) \right) は整係数多項式となる。次数  h は判別式  -d の類数と同じ
  • もし類数1ならj関数値  j\left( \alpha \right) は整数
    • 2次無理数は一般に  j\left( \alpha \right) は「代数的整数  \mathbb{A}」かつ類数1なら  j\left( \alpha \right) \in \mathbb{Q} より  \mathbb{A} \cap  \mathbb{Q} =  \mathbb{Z} と考えても良い
  • 基本領域上の先ほどの無理数の類の中には必ず1つ  \alpha =\frac{1+\sqrt{-d}}{2} 型の無理数が存在するので、 j\left( \frac{1+\sqrt{-d}}{2} \right) は整数になるというわけですね。あーすっきりした。
  • 疑問: 類多項式ってなんで整係数多項式になるのだろう。つまり虚二次体の整数環に対するj関数の値はなぜ代数的整数なのか。

 K=\mathbb{Q}(\sqrt{-23}) のヒルベルト類体

前から疑問だった  K=\mathbb{Q}(\sqrt{-23}) のヒルベルト類体  H/K が、なぜ

 f(X)=X^3-X+1

の分解体になるのかもよくわかった。

 K のヒルベルト類体  H/K H = K\left( j \left(\frac{1+\sqrt{-d}}{2}\right) \right) で生成される。 j\left(\frac{1+\sqrt{-d}}{2}\right) の類多項式  P_{-23}(X) は以下のようになる:

 P_{-23}(X) = X^3 + 3491750X^2 - 5151296875X + 12771880859375

あれ  f(X) は?

一方で, f(X) の根  \alpha, \beta, \gamma \mathbb{Q} に添加すると6次拡大  H'/\mathbb{Q} ができる。

 f(X) の判別式

 D = (\alpha - \beta)^2(\beta - \gamma)^2(\gamma - \alpha)^2 = -23

より,

 (\alpha - \beta)(\beta - \gamma)(\gamma - \alpha) = \pm \sqrt{-23}

が得られるから, H'/\mathbb{Q} K/\mathbb{Q} を含む拡大である。

少し考えると, H'/K K の不分岐アーベル拡大であることがわかる。 H'/K 6/2 = 3 次拡大(すなわち,類数と一緒)より, H' は最大不分岐アーベル拡大(すなわち,ヒルベルト類体)である。ヒルベルト類体の一意性より  H = H' がわかる。

類多項式と類体論

類多項式って円分多項式にどこか似ているなぁと思った。

  • 円分多項式は「指数関数の特殊値の共役な組」を根に持つ整係数多項式で、類多項式は「楕円モジュラー関数の特殊値の共役な組」を根に持つ整係数多項式。
  • 類体論的には、どちらも大事なアーベル拡大を生成する。

ラマヌジャン定数との関連

 j(\tau) \in M_{12} \big/ S_{12} の形していて, S_{12} はカスプ形式なので, q展開の定数項が0,つまり,少なくとも1位以上の極を持つ.

 e^{\pi \sqrt{-d}} j(\tau) q 展開,

 j(\tau) = q^{-1} + 744 + 196884q + O(q^3)

 \tau = \frac{1+\sqrt{-d}}{2} を代入すると得られる。 e^{\pi \sqrt{-d}} q^{-1} に対応しているので,この係数が  1 になるように正規化すると,自然と 744 がでてくる。これが 744 の秘密。