任意の に対して、 が
を満たすというのが、保型性の定義なわけです。
変数 に対する の作用を、一次分数変換
で定めます。このような変数の変化に対して、 がどのように振る舞うかというと、実は保型因子 が飛び出てくるんだよ。僕はそういう理解だった。
しかしながら、たとえば を考えると話が違うなと思ったのです。というのも、この場合の は
になるので、 というのが保型性の式になるはずです。
ところが実際はこう:
変数 に対して が作用しているっていうのは、これ根本的な勘違いだったんです。本当は 自身に対して が作用していると考えるべき。
どういうことかというと、保型因子を移項して考えるのがいい。
この左辺が、 に対する の右作用だと考えるのです。
つまり、 に対する の右作用 を
で定義する。この作用に対して が不変である、つまり
が成り立つというのが保型性の定義だったんだ。
僕はてっきり を で割った群 が上半平面に一次分数変換として作用していて、この作用を通して関数の保型性をみるのだと思っていたのだ。本質的には一次分数変換で、モジュラー群そのものではない、と思い込んでいた。
ところが実際はモジュラー群 そのものが関数 に直接作用していたのだ。これには気づかなかった・・・。
コブリッツで小難しく書いてあったのを、難しいなわけわかんねえな、と思って読み飛ばしてしまった僕が悪かった。
実はもともとの方針としては、モジュラー群なんて概念は紹介するつもりもなかった。 という「変数 に対する」2つの変換を考えて、これによって不変(からちょっとだけずれる)ものを保型形式の定義とする、というように説明するつもりだったのだ。
ところが記事を公開する直前で上のことに気づいてしまって、整合性をとるために間をとるような中途半端な解説になってしまった。
いつか紹介できるかもしれないので、忘れないように下書きブログにはメモ書きとして残しておく。