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tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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朝岩澤理論9:岩澤理論とその展望(上)

tsujimotter-sub.hatenablog.com

の第9週目。


ポイントをまとめていく。あくまで自分のメモ用です。

第9週目(2017/3/17 〜 2017/3/23)

3/17:モジュラー的な岩澤手予想の証明()(つづき)

  • Ribet の定理の証明について概略を学んだ(Mazur-Wilesの証明はこの一般化)
  • ほええ!こんなところで鳩ノ巣原理を使うのか!と感動しました(後述)

(Ribetの定理)
 1< i < p-1 なる奇数  i に対して

 p\mid L(\omega^{i-1}, -1) \;\; \Longrightarrow \;\; p\mid \#{\rm Cl}(\mathbb{Q}(\mu_p))^{\omega^i}

3/18~3/22:Ribetの定理の証明

  • まとめをしばらくサボってしまったので,一気にまとめる.
  • 証明の流れは大きく4つのステップに分かれる
    • (Step1)は保型形式の話,(Step2)はRibetの補題.ここまでは割となんとかついていける. (Step3)(Step4)は群スキームに関する知識を仮定していて思いっきり難しくなる.最後は不分岐類体論でイデアル類群と結びつける
(Step1)

 \varpi \mid L(\omega^{i-1}, -1) のとき,正規化された固有カスプ形式  f \in S_2(p, \omega^{i-1}; \mathcal{O}_{\mathcal{K}}) で,すべての  l\neq p なる素数で  a_l(f) \equiv 1+l\omega^{i-1}(l) \pmod{\varpi} が成り立つものが存在する

  • アイゼンシュタイン級数のq展開  G_{k,\eta} = \frac{L(\eta, 1-k)}{2} + \sum_{n=1}^{\infty}\sigma_{k-1, \eta}(n)q^n に対して,  k = 2,  M=p,  \eta = \omega^{i-1} を考える
    • 素数  l に対する係数は  a_l(G_{2, \omega^{i-1}}) = 1 + l\omega^{i-1}(l) が成り立つので( l の約数は  1, l の2つだけ)目的のフーリエ係数は得られた.しかし, G_{2, \omega^{i-1}}正規化された固有カスプ形式ではない
  • 以下, \bmod{\varpi} において  G_{2, \omega^{i-1}} に合同な固有カスプ形式を探す.
  •  1\leq a, b \neq p-1 かつ  a+b \equiv i-1 \pmod{p-1} なる  (a,b) g = G_{1,\omega^a}G_{1,\omega^b} なるモジュラー形式で,q展開の定数項  a_0(g) がp進単数  \in \mathcal{O}_{\mathcal{K}}^{\times} なるものが存在する(ここで鳩ノ巣原理を使う)
    •  G_{1,\omega^a}G_{1,\omega^b} の定数項は  \frac{L(\omega^a, 0)L(\omega^b, 0)}{4} である.
    • 類数公式により  \prod L(\omega^j, 0) \#{\rm Cl}(\mathbb{Q}(\zeta_p)) を用いて上から評価される
    •  {\rm ord}_p\#{\rm Cl}(\mathbb{Q}(\zeta_p)) の漸近挙動の評価より  p > 19 ならば  {\rm ord}_p(\bullet) < \frac{p-1}{4}
    • 鳩ノ巣原理より, \frac{p-1}{4} 個の巣の中に,それ以上の  (a, b) の組が入るので(?)・・・該当の  (a,b) の組が少なくとも1つ存在する?
  • 以上の  g を使って  f' = G_{2,\omega^{i-1}} - \frac{L(\omega^{i-1}, -1)}{2} \frac{g}{a_0(g)} を作ると,これは  a_0(f') = 0 となる(準カスプ形式という)
  • さらに, \varpi \mid L(\omega^{i-1}, -1) の仮定より  f' \equiv G_{2, \omega^{i-1}} \pmod{\varpi}
  •  f' のままでは固有カスプ形式ではないので(現在はただの準カスプ形式),以下の補題を使い  \bmod{\varpi}が等しいような固有カスプ形式 f''を作る
    • 準カスプ形式の空間  M を考えて,ヘッケ作用素  T を考える
    • 一般論により, M に作用する線形作用素の族  T が, M/\varpi M 上に引き起こす線形作用素  \overline{T} の同時固有形式  \overline{v} \in M/\varpi M が与えられたとする.このとき, \tilde{v} \equiv \overline{v} \pmod{\varpi} なる  T に関する同時固有形式  \tilde{v} \in M が存在する.
    •  v = f' とすると, \overline{v}\bmod{\varpi} は明らかに  \overline{T} の同時固有形式である.よって上記の一般論を適用することにより, T同時固有形式  f'' = \tilde{v} \in M を得る.
    • こうしてできた  f'' \bmod{\varpi} G_{2,\omega^{i-1}} と等しくなる(  f'' \equiv f' \equiv G_{2, \omega^{i-1}} \pmod{\varpi}
    • さらに, M = S_2 \oplus E_2 である( S_2 はカスプ形式の空間, E_2 はアイゼンシュタイン級数の空間).固有形式はどちらかに属する
    • ここで  E_2 の元のq展開と固有値はよくわかっていて,固有値は  f'' と異なる.したがって, f''\in S_2 である.すなわち, f''カスプ形式
  • 以上により, f'' \equiv f' \equiv G_{2, \omega^{i-1}} \pmod{\varpi} を満たす固有カスプ形式  f'' が得られた.
  •  a_1(G_{2, \omega^{i-1}}) = 1 であるから, a_1(f'') \in 1 + \varpi \mathcal{O}_{\mathcal{K}} \subset \mathcal{O}_{\mathcal{K}}^{\times} である(p進単数).
  • よって正規化  f = \frac{1}{a_1(f'')}f'' に対しても, f\in S_2 が成り立つ(この数で割っても, \bmod{\varpi} でのフーリエ係数は変わらない).
  • 以上より,正規化された固有カスプ形式  f で, l\neq p なる素数で  a_l(f) \equiv 1+l\omega^{i-1}(l) \pmod{\varpi} が成り立つものが得られた.証明終わり
(Step2)

(Step1)で得られた固有カスプ形式  f に付随した  \mathbb{Q} の絶対ガロワ群  G_{\mathbb{Q}} のp進ガロワ表現  \rho_f の表現空間を  V_f \simeq \mathcal{K}^{\oplus 2} とする.このとき, G_\mathbb{Q} 安定な  \mathcal{O}_\mathcal{K} 格子  T \subset (V_f)^{*} が存在して, T/\varpi T G_\mathbb{Q} 加群として

 0 \rightarrow (\mathcal{O}_\mathcal{K}/(\varpi))(\mathbf{1}) \rightarrow T/\varpi T \rightarrow (\mathcal{O}_\mathcal{K}/(\varpi))(\omega^{-i}) \rightarrow 0 \tag{3.49}

なる拡大を持つ. \eta \colon G_\mathbb{Q} \rightarrow (\mathcal{O}_{\mathcal{K}}/(\varpi))^\times に対して  (\mathcal{O}_{\mathcal{K}}/(\varpi))(\eta) \eta から定まる  G_{\mathbb{Q}} の一次元表現を表す.

ある  G_\mathbb{Q} 安定な  \mathcal{O}_\mathcal{K} 格子  T \subset (V_f)^{*} が存在して, T/\varpi T (3.49) 型の拡大を持ち, (3.49) \mathcal{O}_{\mathcal{K}}[G_\mathbb{Q}] 加群の完全列として分裂しない.

あとでまとめる

(Step3)

(Step2b) で得られた  \mathcal{O}_{\mathcal{K}} 格子は  T \subset (V_f)^{*} に対して, (3.49) G_{\mathbb{Q}_p(\zeta_p)} \subset G_\mathbb{Q} 加群の完全系列として分裂する.

あとでまとめる

(Step4)

(Step2b) で得られた  \mathcal{O}_{\mathcal{K}} 格子を  \bmod{\varpi} した拡大  (3.49) が定めるコホモロジー類によって  {\rm Cl}(\mathbb{Q}(\zeta_p))[p]^{\omega^i} の中に非自明な元が定まる.

あとでまとめる

3/23:Wilesによるモジュラー形式を用いた方法

  • Wilesの方法は,Ribetの方法の一般化の方向性
    • (包含の図)
  • 肥田理論を用いる
    •  \newcommand{\cyc}{{\rm cyc}}\Lambda_{\cyc} 上有限平坦な局所整数  \mathbb{I} 上のp進モジュラー形式の理論
    • p進L函数を割る \Lambda_\cycの高さ1の素イデアル \mathfrak{J}ごとに局所化して考える
  • 肥田変形の基礎事項
    • 保型形式をp進族(たくさんの保型形式をまとめて扱ったもの?)というものを考えるらしい
    • レベル Np^\infty \mathbb{I} 進モジュラー形式の空間  M_{Np^{\infty}} とそれに付随したガロワ変形を考える
    •  \mathbb{F} \in M_{Np^{\infty}} (ぜんぶ白抜き文字で表される)は自然なq展開  \mathbb{F} = \sum_{n=0}^{\infty}A_n(\mathbb{F})q^n をもつ.ただし, A_n(\mathbb{F})\in \mathbb{I}
    • 有限指標 \kappa \colon \mathbb{I} \to \overline{\mathbb{Q}}_p に対して,特殊化  \kappa(\mathbb{F}) = \sum_{n=0}^{\infty}\kappa(A_n(\mathbb{F}))q^n は保型形式  f_k \in M_k(\Gamma_0(Np^*), \psi_{\mathbb{F}}\omega^{2-k}\phi; \kappa(\mathbb{I}))のq展開と対応する.
    • たくさんの保型形式をまとめた  \mathbb{F} を考えて,そのq展開の係数に指標を適用すると一個の保型形式がぼろんと取り出せるイメージ
    • 通常のモジュラー形式と同様にHecke作用素  \mathbb{T} も定まる
    •  \mathbb{I} の商体  \mathbb{K} を考えて, \mathbb{F} に付随する2次元ガロワ表現  \rho_{\mathbb{F}} \colon G_\mathbb{Q} \to GL_2(\mathbb{K}) が存在する.フロベニウスのトレースが係数に対応する.行列式がNeben指標といろんな指標の合成( G_\mathbb{Q} \to \mathbb{I})で定まる.

雑感

  • 念願だったエルブラン・リベの定理のRibetのほうの証明の指針を眺めることができた.
  • そして,思いっきり難しいこともわかった.
  • ただ,具体的にどういった道具立てが必要で,それがなぜ必要なのかがわかるのは今後の勉強に大いに役立つと思う.
  • Ribetの定理は,今後の岩澤主予想の証明のミニチュアケースになっているようなので,しっかり理解して次に備えたい.