tsujimotterの下書きノート

このブログは「tsujimotterのノートブック」の下書きです。数学の勉強過程や日々思ったことなどをゆるーくメモしていきます。下書きなので適当です。

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「分かっている人には面白い」は分からない人には面白くない

最近,数学を楽しく伝えるにあたって「このトピックは一体どういう条件で面白いと感じるのか?」をよく考えます。

「わかっている人には面白い」という話は結構多い。話す側は,自分が分かっているもんだから(普遍的に面白いと勘違いして)「面白いだろー」と言ってくるんだけど,まったく知らない人にとっては,その話の何が面白いかが理解できないのだ。

たとえば

 \displaystyle 1+2+3+\cdots=-\frac{1}{12}

系の話。これは複素関数論とか解析接続とかの背景を正しく理解して,初めて面白いと感じる類だと思うのです。

よく見かけるんですが,単にこの式の奇妙さ・不思議さを煽るだけの話がある。これはやはり筋が悪いと思う。

最初から最後まで丁寧に説明した結果,最後に系としてこんな式も導けるよ,くらいでちょうどいいと思う。


逆に,最近流れてきたこちらは(まだちゃんと読んでないけど)良い解説だと思う。
nakaken88.com

ここら辺の記述は完全に同意です。

広く門戸を開いていると見せかけて、中に入った途端に一見さんお断りな態度に急変するという数式です。これに興味を持った人が数学の得意な人に聞いた場合、悲劇しか起きません。なぜか複素数の話が出てくるからです。これはもう、聞いた方も聞かれた方も不幸で、こんなキャッチーな数式は世に出回るのを禁止した方がいいレベルです。それほど、この数式は罪深いと思います。
(中略)
フェルマーの最終定理も、「入り口は優しそうで、数式の理解は厳しい」という点で、同類な匂いがします。

この式のタチの悪さについて,もう1つだけ触れておくと,理解するのが難しいわりに理解してしまえば,不思議な話でも何でもないのである。「え?それだけ?」ってなる。期待していたほど面白い結論にもならない。タチが悪い。


同様に,フェルマーの二平方定理も,わからない人にはピンとこない話かもしれない。

 p = 4k + 1 \; \Longleftrightarrow \; p = x^2 + y^2

が成り立つという話だが,その不思議さを感じるためには,少々ハードルが高いように思う。

もちろん,整数論が好きな人はその背後には類体論があることを知っていて,類体論によって一般的にそのメカニズムを説明出来ることがわかれば,その現象があらわれる例として面白く感じれると思う。あるいは,完全に理解しないまでも,その可能性を肌で感じるような説明を聞けば面白く感じるかもしれない。

こっちは理解するときっと面白いので,ぜひ勉強するといいと思うし,僕ももっと理解したい。