tsujimotterの下書きノート

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積分定数

数学ガール「ポアンカレ予想」を読んでいて(あまり本題に関係なく)感動したのが、不定積分についてである。

 f(x) の不定積分は、原始関数  F(x) を用いて以下のように表せる。

 \displaystyle \int f(x)dx = F(x) + C

ここで、 C は積分定数である。

高校の時からずっと機械的に(もしくはおまじない的に)「 C は積分定数である」と書いてきたわけだが、この積分定数とは一体何か、というのが今回の主題である。


まず、元の不定積分は、微分を使って以下のように書き換えることができる。

 \displaystyle F'(x) = f(x)

「これは微分方程式である」というのが、最も重要な視点の変換である。そういえば、これを微分方程式とみて考えたことは今までの人生の中で一度もなかった。これに感動したのである。

さて、微分方程式があったら、そのすべての解を求めたくなるわけだが、それが  F(x) + C なのである。この積分定数  C は、微分方程式の解すべてをあらわすためのパラメータである。つまり微分方程式の解の集合は

 \{ F(x) + C \mid C \in \mathbb{R} \}

というわけである。なるほど、積分定数は解の空間をあらわすパラメータだったというわけだ。


さて空間といったが、これは一体何の空間なのか?もっというと線型空間なのだろうか?

これに対する回答は、線形微分方程式の理論の中にある。線型微分方程式は、斉次なものと非斉次なものに分けられる。どうでもいいことだが、この「斉次」という漢字を変換するのにかなり時間がかかった。

斉次な線型微分方程式とは、解となる関数をたとえば  y とおいたときに、

 y^{(n)} + a_{n-1}y^{(n-1)} + \cdots + a_2 y'' + a_1 y' + a_0 y = 0

と書けるような微分方程式のことである。つまり、 y を微分したものしか、本質的に式に現れない。斉次な微分方程式の解空間は、 \mathbb{R} ベクトル空間になる。

一方で、今回対象となる微分方程式は「非斉次」である。 y = F(x) としたとき

 y' = f(x)

と表せるが、右辺の  f(x) y の微分では表せない。


さて、非斉次なタイプの微分方程式の解法は、斉次なタイプの方程式に帰着することだった。つまり、無理やり右辺の非斉次な項をゼロにしてしまうのである。すると

 y' = 0

となる。この微分方程式の解は、積分定数  C \in \mathbb{R} で表せる。つまり、解空間は  \mathbb{R} である。明らかに  \mathbb{R} ベクトル空間になっている。

元の非斉次な解すべてを得るためには、非斉次な方程式の解を一つ見つければいい。つまり、 y = F(x) が非斉次な解の1つなわけだが、これに先ほどの斉次な解空間  \mathbb{R} を加えたものが、非斉次なものも含めたすべての解空間である。すなわち、

 F(x) + \mathbb{R}

が解空間となるわけだ。なるほど、積分定数は1次元  \mathbb{R} ベクトル空間を表していたのか。


まさかの続き

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