tsujimotterの下書きノート

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円分多項式の既約性とカタラン予想

カタラン予想の議論で

 \displaystyle \operatorname{gcd}(x-1, \frac{x^p - 1}{x - 1}) = 1 \; \text{or} \; p

というのがありました。
tsujimotter.hatenablog.com


これって実は円分多項式

 \displaystyle \Phi_p(x) = \frac{x^p - 1}{x - 1} = x^{p-1} + \cdots + x + 1

の既約性判定の議論とまったく同じだということに気づきました。


既約性判定の議論を思い出すと  x = y+1 として

 \displaystyle \begin{align} \Phi_p(y+1) &= \frac{(y+1)^p - 1}{y} \\
&= \frac{y^p + p y^{p-1} + \cdots + py + 1 - 1}{y} \\
&= y^{p-1} + p y^{p-2} + \cdots + p \end{align}

となります。

ここで   \Phi_p(y+1) の係数は

  •  0 次の係数が  p で割り切れて、 p^2 では割り切れない
  •  1 次から  p-2 次の係数が  p で割り切れる
  •  p-1 次は  p で割り切れない

を満たしますので、アイゼンシュタインの既約判定法より  \Phi_p(y+1) は既約です。


さて、この  y という変数は  y = (x-1) なので、再度戻すと

 \displaystyle \Phi_p(x) = (x-1)^{p-1} + p (x-1)^{p-2} + \cdots + p

となります。 (x-1) 1 次から  p-1 次までは  x-1 で割り切れ、 0 次の係数は  p で割り切れます。

したがって、 (x-1) \Phi_p(x) が公約数を持つとしたら、それは  p 1 のいずれかである、というわけですね。


そんなこんなで、この式変形はまさに同じものだったというわけです。以前、私はカタラン予想の議論がまったく理解できず、悩んだのですが、円分多項式の既約判定に慣れている人からすると当たり前の議論だったというわけですね。だから論文には書いてなかった。なるほどな。